1982年に私家版として出たものの復刊・文庫化。
著者は出版社勤務の傍ら、民俗学研究に従事したという人物。本書の執筆中に亡くなったとのことで、残念ながら未完成の部分がそこかしこに見られる。
扱われているのは、船幽霊、海女のあいだで恐れられている共潜きなど。また、江戸期の漂流民についてもかなりの頁が割かれている。
各地から伝承を集め、並べてくれているので、こういう怪しいテーマが好きなひとには楽しめる本だと思う。ただ、ほとんど船幽霊と共潜きに話題が限られている点は物足りない。
また、整理の途中だったようで、いささか読んでいて煩わしい点がある。分析や考察も通り一遍のもので、もっとじっくり時間があったならと残念である。