著者は、様々な角度から歴史を今一度考察しなおすということを本書の要所要所で行っている。例えば鎌倉幕府成立は一般的には1192年であるとされているが、これを読むと、この部分に関する歴史学上の見地からして最も説得力に欠ける説であると分かり、目から鱗が落ちる思いがする。
しかし、学究にありがちな難解な論議に終始せず、重要な歴史イベントのシーンでは小説風に再現してみてくれる。文章も読みやすい。
こういうことはなかなかできない。
このシリーズは一冊ごとに著者が違うのでかなりそれぞれ差異があるようだが、この巻は著者がかなり素晴らしいと思う。
ただ、一時代を語る本なのでどうしてもそれぞれの話がある程度簡潔になってしまう。義経の話など、個人的にはもうちょっと魅力的なキャラの話を長くして欲しいと感じてしまったが、これも読者の我儘だろうか……。
それと、後半の北条氏の陰謀・策略の歴史の数々は個人的にどうしても好きになれないのでいい気分がしない。
しかし前半部だけでも読む価値は大いにあると思う。