中央公論新社の「日本の歴史」シリーズは、40年前に刊行されたものの改版であるが、日本通史の昭和のスタンダードと称されるだけあって好著が多い。個人的には古代〜中世の中では、第1、3、5、6、7、9巻を高く評価している。佐藤進一氏執筆の第9巻は、南北朝時代の研究水準を飛躍的に高めただけでなく、現在でも基本書として十分活用できる名著であると思う。このシリーズには改版にあたり刊行後の研究状況が解説として追加されている。紙数の都合上、すべてに詳細とはいかないが、この巻の森氏のものはバランスのとれた良いものであり、基本書としての価値を高めていると思う。(ただ、巻によってはひどい駄文解説のものもあり、せっかくの試みが失敗しているケースがあるのはこのシリーズにとって残念である)