巻頭に、推定樹齢1200年「北海道津別町最上のミズナラ」が紹介されている。まさに「神木」だ。思わず手を合わせたくなる。
巻末に、台風による倒木・北大並木ポプラが多くの人の協力で楽器チェンバロになったことが紹介されている。
本書は東日本を中心として、ただ名木を紹介するにとどまらず、それぞれの木の特性を生かして木製品に仕上げる職人のわざがビジュアルに紹介されている。森林が国土の三分の二を占める日本のまさに「木の文化」である。
「版木は昔からヤマザクラと決まっている。堅いが彫りやすい。狂いも少ない」(版画彫り師)
「ホオは刀の刃に優しい。鞘に収めるときに刃が当たっても大丈夫」(鞘師)
「マツの材はささくれだった感じがする。手に持った感触がよくない。その点、カツラは手になじむ」(印材屋)
本書執筆のきっかけは「なぜその材を使うのか」「その適材はどういう森で育っているか」を関係者に聞いてみたかったことによる。手まめな取材ができていて、森に優しい「木の匂い」のする心のゆきとどいた一書である。
次は東日本を手がけてくださいよ。