本書は、98歳で亡くなる直前まで「教えるということ」に生涯を捧げた
国語教師である著者が、市の教育講座や教育研究会や教育学会等で
講演、発表されてきた内容を元にまとめ、それを文庫化したものである。
本書の中で書かれているように、大村実践の核となっているのは、教師
が入念な準備をした上で、確実に身につけなければならない基礎の部分
を、授業の工夫を通して教えるということである。著者の述べる、その「教
える」という姿勢は、「〜しなさい」という直接的な指示に基づくものでも、
数年前に言われた「指導より支援」という概念とも異なる。
あくまで、教師の信じる指導を磨き上げ、入念に準備し、その指導を通し
て、子どもたちの学びの姿勢を誘い出し、「実のある」教育効果をあげるこ
とを目的としたものである。
この考えの下で行き着いた「単元学習」として知られる著者の実践も本書
の中で紹介されており、その主張の一つ一つが、著者の経験や信念を反映
した「芯のある」ものばかりである。
著者は国語教師であるため、内容的には国語の授業に特化したものも含
まれるが、それでも著者の人となりや信念を感じたり、教室で繰り広げられ
たであろう「真剣勝負」な様子を感じ取るには十分な本である。