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日本の愛国心―序説的考察
 
 

日本の愛国心―序説的考察 [単行本]

佐伯 啓思
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

なぜ、いま「愛国心」なのか。「愛国心」という概念をめぐって、ナショナリズム、民主主義、共和主義などの思想史における議論を整理したあと、「愛国心教育」論争から大東亜戦争の兵士の心まで、日本に生きる人々の心の歴史を大きく振り返る。
「読売新聞」(4/13付)書評欄で御厨貴氏が高評!
「週刊文春」(4/10号)で佐藤優氏が激賞!

内容(「BOOK」データベースより)

「日本的精神」の深く静かなる声を求めて混迷の時代だからこそ問う。第23回正論大賞受賞。

登録情報

  • 単行本: 342ページ
  • 出版社: エヌティティ出版 (2008/2/29)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4757141750
  • ISBN-13: 978-4757141759
  • 発売日: 2008/2/29
  • 商品の寸法: 19 x 13.8 x 3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 50,481位 (本のベストセラーを見る)
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形式:単行本|Amazonが確認した購入
著者は2007年正論大賞を受賞しているが、本書は安易な右寄りな著作ではないぞ。

現代日本における「愛国心」という言葉に対して誰もが持つ(潜在的に持っていると推測する)アンビヴァレントな感覚を、言葉で丁寧に説明しようとしている。

愛国心を「市民的ナショナリズム・民族的ナショナリズム」とに分けて考察を進めながら、国家には愛国心は必ず教育される必要があると断言。

昭和の戦争を'「自衛戦争or侵略戦争」と単純な二元論で捉えることに異論を唱える。ペリー来航以来、自主自存を目的とし日本が近代化に踏み切らざるを得なかった論理的帰結が、侵略と敗戦であり、現代日本人が持たざるを得ない「愛国心のアンビヴァレンシー」であるとする。そしてこれは避けることのできない国家の運命だったと悲しげに語る。最後に西田哲学に代表されるような京都学派的な禅的な叙述で締めくくるあたりに、著者の「近代」というものに対しての絶望がひしひしと伝わってくる。

単純な愛国心高揚vs反愛国という不毛な議論。でも、この「はかなく散りゆくものへの慕情」こそが著者の持つ「日本の愛国心」なんだろうなぁと感じた。
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27 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 宣長さん トップ50レビュアー
形式:単行本
 今日、「愛国心」を論じることは難しい。この難問たる所以は今に始まったわけではないと、戦後日本の二重価値国家をナショナリズムの評価から論じている(第1章)。ついで、微妙に違う表題「愛国心(パトリオティズム)」と「ナショナリズム」「愛郷心」の概念を鮮やかに比較している(第2章)。更に論を進め、愛国心の教育を素材にして、西欧的近代国家の「愛国心」の意味を概観している(第3章)。以上はさておき、著者の本領が発揮されるのは後半3章である。
「負い目」をもつ日本の愛国心…三島由紀夫と吉田満の「戦後」、保田與重郎の「万葉の精神」、小林秀雄の「戦争」など独特の愛国心に切り込む。
歴史観という問題…靖国問題について、「あの戦争」をどう捉えるか、東京裁判をどう受け入れるか、どちらかに加担するのではなく、意見の対立する論点を究明しようとしている。ただ序論である本書の性質上、これに続く論拠の詳述が望まれるところである(第5章)。
日本の歴史観と愛国心…福沢諭吉の近代観、西田幾多郎の歴史観、保田與重郎の思想のもつ意味、そして再び「日本の愛国心」の意味(第6章)を問う。
 著者は「愛国心とは」とその必要性を訴えたりするものではなく、個々の具体的論陣を紹介し、この国のことを考えたかを解き明かそうとしている。その誠実さを買いたい。個々人の「愛国心」観に迫れる一書である。(私はここで個人的好みは控える)

 
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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By じゃが〜 トップ500レビュアー
形式:単行本
 愛国心という言葉について正面から取り組んだ著者は、この言葉の前に立ちすくむ人々に対して、絡まった糸を解きほぐしていく。その過程は見事の一言に尽きる。

 左派は愛国心を侵略戦争を引き起こした原因と捉える。自由と平等の心を教育する一方で、国歌・国旗には心の問題だから教育しないと二枚舌を使う。

 右派は、左派への脊髄反射として愛国心を訴え、アジア解放論を持ち出す。しかし、当時の日本と同じ状況のイラク戦争でアメリカ側に立って恥じることもない。

 しかもいずれの単純な見方も、東京裁判史観を受け入れて軍事・外交をアメリカに丸投げした結果から生じている矛盾。

 著者は日本人の精神のこの分裂の原因を明治維新にまで遡る。西洋の世界支配に対抗するために西洋文明を導入する矛盾に日本精神は引き裂かれた。日本精神の敗北を見越した上での近代化だったのだから、西洋との衝突と敗戦は日本的に不可避だったとも言う。

 なお、本書前半の愛国心や愛郷心、ナショナリズムといった精神と近代国家の詳細な解説も価値ある解説だ。ナショナリズムは国民主義である。国家主義のステイティズムとは異なる。
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