被害者の立場でしか語れない平和論、勝つか負けるかの二元論しか持ち合わせない戦争観、戦争行為自体の正当化、等々。太平洋戦争をめぐる議論は、それをしたところで何の解決にもならない議論に終始してきたように思う。そういった閉塞感を打破する要素がこの本では語られているように思う。
本書では、太平洋戦争がいかなる理由をもってしても正当化できる代物ではないことを、当時の日本の政治・法制度上の欠陥も含めて明快に示している。そこで検証されている出来事の一つひとつを読んでいくと、戦争をおこした当時の人びとと現代の私たちの政治感覚、国際社会理解というものに、さほど変わりがないことに気付かされる。
そしてそのことにこそ、筆者の語る「第二の開国」の問題性と「第三の開国」の重要性がある。敗戦という形でもって始まった「第二の開国」を無条件に善とし、自己の力で社会を再構築することがなかったところに戦後日本の問題性があるのであって、「第三の開国」期にあたる現在において、その再構築を行うことが重要だと筆者は言いたいのだろう。
最近の政治・外交に関する発言を耳にするとき「もう一度太平洋戦争をやらないと、どれだけとんでもない事をやろうとしているのか、わかんないんじゃないのか」と思ってしまうことがある。そうした危険な状況にある今、私たちには鋭い政治感覚と正しい国際社会の認識が求められていると感じてやまない。