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一方的なドグマや陳腐な説明に満足せずに、自らの力で明治百年の足跡を振り返ってみよう、という著者の意欲は本書の生命を一過性のものとしないことに成功したようだ。
近代日本外交は「非道徳的なのではなく不道徳的」p20であり、「抽象的な思想が欠如」p27していた。そして民間の有識者たちはそのような政府の姿勢に飽き足らず、より華々しく、道徳的なアプローチを模索しようとした(政府の現実主義・民間の理想主義)。
このような怜悧な観察の上で、著者は現実対応的な次元を超えた地平で外交を包摂する哲学や理念を日本はいまだ持てずにいるのではないか、との問題提起により本書を締めくくる。(唯一例外は、漠然としたアジア主義や東西両文明の対立・融合といったイメージだ)この言葉は、21世紀を迎えた現代にあってより切実な重みを持ってくるのではないだろうか。
初版は1966年とかなり古いが、本書が提示する視角・問題意識は現代にあってもなお有効なものといえる。
ほぼ同時期に書かれ、同じ中公新書に収められている高坂正堯『国際政治』と併読するのも面白いと思う。
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