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5つ星のうち 5.0
平和の象徴としての「野ばら」,
By 南河内太郎 (大阪・富田林) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 日本の名作童話絵本〈上〉 (大型本)
今回手にした絵本の中では、10ペ−ジほどの小作品ですが、
お話しに沿って描かれている挿絵がとても気に入りました。 緑を基調としつつも、場面に応じての色使いがとても美しく印象的です。 「野ばら」といえば、 ゲーテの詩にシューベルトやウェルナーが作曲した歌曲のメロディが浮かんできますが、 歌の中のばらは、赤いばらであるのに対し、このお話しに出てくるばらは「白いばら」。 よい香りを放つ白い野ばらの花には、蜜蜂が飛んできて群がり、 その蜜蜂の羽音が、小鳥のさえずりと重なり合って、 とても心地よく耳に響いていたことでしょう。 国境をはさんで対峙した年老いた兵士と青年兵士。 最初は互いに顔も知らず「敵か味方かというような感じ」を抱いていた二人が、 いつしか仲良くなって将棋をするようになります。 そんな二人について語る、こんな言葉があります。 「将棋盤の上で争っても、心はうちとけていました。」 この作品が書かれたのは1923(大正12)年。 ちょうど第一次世界大戦が終わり、新たに設立された国際連盟を中心に、 しばし世界が平和を共有しようとしていた時代です。 そんな時代の空気の中から紡ぎ出された平和のメッセ−ジのような作品です。 今なお平和への模索が続く今日、この作品の意味をあらためて感じたしだいです。 できれば英訳される機会を期待したいものです。
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