現在では「右翼とか左翼って何ですか?」と若者らに「素朴な疑問」にされてしまってすらいる「右翼」と「左翼」だが、かっては相当な影響力を誇った時代があり、年配の人には忘れたくても忘れられない悪夢だった人も多いだろう。本書はそうした右翼・左翼の代表的な人物をまとめて列挙し、解説も載せてくれている入門・一覧には非常にありがたい本だ。特に右翼はこうして全般的に歴史をまとめた資料はなかなか見あたらず、価値ある内容だと思う。戦前は右翼は政治・社会に対して相当な影響力をもっていたとか、頭山満が孫文やビハリー・ボースの革命運動を援助していたりという随分と「仁義」ある行動もしていたんだということもわかる。ただ、いずれの人物についてもさらっとその生涯を語るだけでつっこんだことは書いていないし、彼らが起こした「事件」も本当はもっと色々あるのだろう。被害者や反対の立場の人からはそれぞれ互いに文句をつけたいところが山ほどあるかもしれないが、そうした思想的・主観的なものを廃した複数のライター陣による淡々とした書き方は本としては非常に読みやすくてありがたい。
巻末に今後の左翼のあり方として「共産党に未来はあるのか? 筆坂秀世インタビュー」という記事ものっている。日本独自の左翼政党のあり方と内情を語る上で非常にナイスな人選だと思う。