「日本の原発技術は優れていて、緊急事態にはすぐに対応できる、最高の技術」を説明した本。
まさかこの本が発表されて、わずか3ヶ月後にレベル7級の爆発事故が起こるとは夢にも思わなかっただろう記述が満載です。
20年前の本なら、こういう御用学者的な本があってもおかしくありませんが、今となっては強烈なブラックジョーク集と化してしまったようです。
本文で、「原発をめぐる報道は公明正大ではない」と、原発の問題点を誇張する報道が多いと指摘していますが、事故後の報道統制により、情報が錯綜する事態も起こっています。
逆説的に見れば、確かにテレビ報道に御用学者が出てきて、「安全」、「人体に影響ない」を連呼していながら、レベル7になってしまうのは公平正大な報道とは言えないので、一種の「予言の書」でもあります。
「世界一安全な日本の原発」という安全神話が崩壊し、この事故をきっかけに、世界の日本に対する考え方を変えました。
これほどマヌケな予言の書は見たことがありません。
出版と事故のタイミングが、あまりにも悪すぎたことについて、著者の方には個人的には気の毒に思っています。
しかし、やはり自分の言説と思いきり異なる重大な事故が起こったことには責任を感ずるべきです。物書きである以上、この本の内容について責任を問われても仕方がないでしょう。
ただし、もっと責められるべきなのは、事故後であっても、テレビで「安全」を連呼している御用学者のみなさん。
そして「想定外」という免罪符を連呼している電力会社のみなさんだと思います。
本書の著者の方には、長年の原発取材経験を活かして、なぜこんな愚かな本ができてしまったのか、検証していただきたいと思います。