昨今の日本は、「原発(&東電)栄え、国滅ぶ」か、はたまた「昔陸軍、今東電」といった様相を呈している。それはさておき、この度、緊急出版された当書は、経済評論家・内橋克人氏渾身のルポルタージュ『
原発への警鐘』(単行本1984年,文庫版1986年)の復刻版である。『原発への警鐘』については、私もかつて読ませてもらったが、その後、残念なことに失ってしまった。そして今日、私たちは、人類史上において最悪といえる「原発震災」(石橋克彦氏)に見舞われているけれども、本著は、その主因となった東電「福島第一原発」の誕生秘話や「スロー・デス(緩やかな晩発性の死)」に表徴される「マンクーゾ報告」(1977年)などが書き記されている。「原子力発電」に関して、強弱はともかく容認、あるいは全く関心の外に置いてきた私たちの過去に対して猛省を促す材料の一つとなるであろう。
当著は、内橋氏も語るように『原発への警鐘』の一部収録に留まっているが、その著者の思いを少し長くなるけど引用したい。「福島原発の重大事故に遭遇しているいま、いかにして「原発安全神話」は築かれたのか。「原発一極集中」というエネルギー政策はどのような政治・経済構造のもとで構築されたのか―政治主導で進められた過去の歴史の1ページをひとりでも多くの読者に伝えたい、そのような強い思いに衝き動かされての緊急出版となった。次の時代の正しい「エネルギー選択」への道案内人にとり、たとえ、か細くとも1本の杖となりたい…筆者のひたすらな祈りである」(本書p.2)。最後に、「マンクーゾ報告」を作成したトーマス.F.マンクーゾ博士の次の指摘で締めたい。それは被曝に関する米政府当局者の言い訳だ―There is no immediate danger―見事に表現が一致する…。