狩猟採集から現在までの人々の暮らしを思い浮かべてみようとすると、江戸時代後半以前はモヤがかかって想像もできない。江戸時代後半の文物・生活・風俗であれば、祖父母・曽祖父母の暮らしから何とか想像することもできるのだが。そう思って、歴史の知識を振り返ってみると、時代区分で言えば、縄文・弥生は生活そのものなのだが、古墳時代を過ぎると広い意味で政治史の知識しかない。
本書は歴史好きの虚を突く好著と言ってよい。米、塩、昆布、道、などなど具体的なモノを手がかりに、丹念にたどって行くことで、そこに生きた人に思いを馳せ、読み手の想像力がかき立てられる。中世史において網野善彦氏の著作がそうであったように、広く古代史において平川南氏の本書はエキサイティングである。スポーツ感覚で読める好著である。