鈴木邦夫『公安警察の手口』(ちくま新書)が新右翼活動家としての経験から公安を論じているのに対し、本書はジャーナリストの立場からヴェールに隠れた日本の公安警察の歴史と活動を描き出す。公安警察の全貌、戦前の特高の伝統を受け継いだ戦後の公安警察の歴史、公安の捜査の手法、革マルやオウムとの激しい戦いなど本書の衝撃的な内容には驚かされるばかりだ。
個人的に興味深かったのは第二章「特高から公安へ」である。戦前の中央集権的警察機構に対する反省から自治体警察を標榜するようになった戦後日本の警察組織。だが、そのような建前とは裏腹に日本の警察は警察庁を頂点とし全国の都道府県警を配下に置く中央集権的機構となっていった。自治体警察という建前はいかに換骨奪胎されていったのか?その過程を描く本書からは旧内務省・特高から戦後警察への「連続」が浮かびあがってくる。日本の公安警察論としてのみならず戦後史の一側面を描いた書としても興味深い一冊だ。