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日本の偽書 (文春新書)
 
 

日本の偽書 (文春新書) [新書]

藤原 明
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

荒唐無稽なものに人はなぜ魅せられるのか
世間を騒がせた「超古代史」と呼ばれる偽書のたぐいは、どのようなメカニズムで人々の興奮を掻き立てて来たのか、その謎に迫る

内容(「BOOK」データベースより)

“記紀以前の書”といった荒唐無稽な偽書のたぐいには、意外にも正史には見られぬような精彩のある歴史像が描かれている。超国家主義者と深くかかわる『上記』『竹内文献』、東北幻想が生んだ『東日流外三郡誌』『秀真伝』など、本書では世間を騒がせた「太古文献」と呼ばれる偽書を取り上げ、ただあげつらうのではなく、どのようなメカニズムで人々の興奮を掻き立てて来たのかを検証し、人はなぜ偽書に魅せられるのか、その謎を詳細にさぐる。

登録情報

  • 新書: 198ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2004/05)
  • ISBN-10: 4166603795
  • ISBN-13: 978-4166603794
  • 発売日: 2004/05
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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60 人中、54人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 内田裕介 トップ500レビュアー
形式:新書
私は若い頃、オカルトファンであった。愛読雑誌はムーだった。

であるから、本書で扱う「竹内文書」「秀真伝」「東日流外三郡史」などという、怪しげな歴史書の名前も知っていた。
そして、これらが一般には偽書といわれており、ちゃんとした学者は認めていない本であることも知っていた。

たとえば、キリストの墓が青森県戸来村にある、という話。

義経=ジンギスカン説と並んで、オカルトファンなら知らぬもののない、大変に有名な話である。竹内文書に書かれている話である。
ストーンサークルがあったとか、日本最古のピラミッドがあるとか、東北民謡が実はヘブライ語だったとか、いろいろな周辺の話も豊富にあって、とても不思議で夢のある話だった。

ところが、本書はその竹内文書を、完膚なきまでに打ちのめす。

面白いのは、書かれている事柄そのものが科学的か非科学的か、証拠があるかないか、という観点だけではなく、いつごろ、どういった経緯で世の中に出てきたか、そのことに誰がどのように関わったのか、という観点で詳細に分析を行っている点である。

偽書は贋作者の創作物というだけではない。一新興宗教のでたらめな経文=竹内文書が、昭和初期の軍国主義へと向かう時代の中で、果てしなく膨らんでいったように、偽書が信じられる背景には、それを必要とした時代がある。その観点では、いわゆる「都市伝説」といった類のものと似ている。

現実にはありえないを信じてしまうのは、それを信じたいと思う気持ちがあるからこそである。キリストどころか、モーセ、釈迦、孔子、老子、マホメットにいたるまで神道を学びに日本に来ていた、とか、日本の神々がUFOに乗って世界中を巡幸したとか、そんなことは事実であろうがなかろうが、どっちでもいいのである。普通に幸せに暮らしている人には何の意味も持たない。

裏を返せば、思うようにならない現実があるからこそ、漠然とした時代への不安があるからこそ、偽書が生まれ、都市伝説が生まれる。オカルトもまた、この文脈でしか存在し得ないものだったのだ、といまさらながらに気づく。

若い頃のあわい幻想は見事に打ち砕かれてしまったが、オカルトにさしたる興味もなくなってしまった今、たいしたショックもない。
それよりも、あの頃どうしてあんなにオカルトを求めたのか、若い頃の自分は何を求め、何から逃げていたのか。むしろ、そちらの方が気になっている。

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16 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 糸音 トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:新書
好きな人はとても好きな偽書の世界。

その通説を無視した荒唐無稽な世界は、多くの人は相手にせず、興味のある人々の間でだけ語り継がれる。

しかし、時として表舞台に登場することもあり、世論に影響を与えたりもする不思議な世界。

本書は『上記』『竹内文献』『東日流外三郡誌』『秀真伝』のような知る人ぞ知る大物の偽書を中心に、偽書とは何かを論じていく。

「皆は信じないけど、これが本当の歴史だ」とか

「これはこんなにも胡散臭い本だ」とか

主観から偽書を論じるのではなく、

「なぜ人々は偽書に惹かれるのか」

「どのように偽書は成立したのか」

といった、偽書そのものの内容よりも偽書が成立し、受容(一部の人であるが)の過程を追跡していった本である。

偽書の内容について一つ一つ科学的に論破していくというパターンでなく、偽書の形成過程を科学的に追跡するこの書は私にとっては新鮮であった。

一部の真実があればその書を偽書でないということはできないし、著者が偽書を作ろうという意図がなければ偽書でないというわけでもない。

『先代旧事本紀』や「中世日本紀」に見られるように偽書は近代的な要素ばかりでなく、中世にも素地があったという考察はとても興味深い。歴史学・文献学が厳密になったこととも関係しようか。後世の人物が何らかの意図を持って歴史を改ざんしたり、創作し、それを歴史的事実であるかのように装うのが偽書といえようか。

しかし、事実か解釈か。学問の世界では泰然とした違いがあるが、その世界を一歩出れば混沌とした世界である。

例えば歴史書の史観と歴史小説の史観の違いも学問以外の世界にいる人間には理解されていない。有名な某歴史小説家の「●●史観」もあくまで小説の世界であって歴史学的には何の根拠もない。そのあたりの違いを理解することと偽書と真書の区別を理解することは同じフィールドの問題であるような気がした。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
偽書の歴史を概観するには、便利な本だと思う。
だが、斉藤光政の『偽書「東日流外三郡誌」事件』を先に読むと、物足りない。真相を追求していくという面白さがない。
あくまで、偽書の歴史や性質を網羅的に知るための一冊。
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