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日本の伝統 (知恵の森文庫)
 
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日本の伝統 (知恵の森文庫) [文庫]

岡本 太郎
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

「法隆寺は焼けてけっこう」「古典はその時代のモダンアート」「モーレツに素人たれ」――創造であり、生きるための原動力でもあると主張する著者が、縄文土器・尾形光琳・庭園を題材に、日本の美の根源を探り出す。『今日の芸術』の伝統論を具体的に展開した名著、初版本の構成に則って文庫化。著者撮影写真、多数収録。解説・岡本敏子

内容(「BOOK」データベースより)

「法隆寺は焼けてけっこう」「古典はその時代のモダンアート」「モーレツに素人たれ」―伝統とは創造であり、生きるための原動力であると主張する著者が、縄文土器・尾形光琳・庭園を題材に、日本の美の根源を探り出す。『今日の芸術』の伝統論を具体的に展開した名著、初版本の構成に則って文庫化。著者撮影写真、多数収録。

登録情報

  • 文庫: 292ページ
  • 出版社: 光文社 (2005/5/10)
  • ISBN-10: 4334783562
  • ISBN-13: 978-4334783563
  • 発売日: 2005/5/10
  • 商品パッケージの寸法: 15 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ロビン トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫|Amazon.co.jpで購入済み
 同出版社から出ている『今日の芸術』の続編(各論)として書かれた本です。読み方は自由ですが、やはり前書を読まれてから本書を読まれたほうが理解がいいと思います。

 本書の目次は、「一・伝統とは創造である」「二・縄文土器」「三・光琳」「四・中世の庭」「五・伝統論の新しい展開」となっています。巻頭には太郎さんが撮影した縄文・弥生土器や本文中で言及されるいくつかの日本の庭の写真(モノクロ)が30ページにも亘って掲載されており、また巻末には岡本敏子さんの解説が付されています。本文中にも沢山の写真が挿入されていて親切です。
 本書は、非常に具体的なものに即して話が進むのでわかりやすいかと思いきや、芸術論として突っ込んだレベルの高い内容になっており、『今日の芸術』よりも難しく感じる方が多いと思います(私はそうでした)。しかし、太郎さんの確かな眼識が捉えなおす<日本芸術>論は非常に独特で新鮮であり、一読すれば必ずや<日本性><芸術の現代性>について何らかの刺激と示唆を受けることは間違いありません。

 フランスの画家ベルナール・ビュフェは「芸術は花と同じように人生に必要なものだ」と言いましたが、太郎さんの芸術論もそうした<芸術は人生の余技や趣味的なものではなく、もっと人間が人間らしく生きるために必要不可欠な実存的なものだ>という意識に基づいていていると強く感じます。<芸術は太陽のように皆のもの>という言葉にもそれは表れている。この認識は、所謂<人はパンのみにて生きるにあらず>という人間存在への鋭い洞察です。高い納税率によって生活の物質的な面が保障されている幸福度世界一のデンマークでさえも、自殺者の増加に悩んでいるという現実は、私達にこうした言葉の意味、その洞察の確かさを更に深く感じさせるものです。
 人生を真に充実させるものは、あってもなくても良いような趣味的な芸術や、型にはまった無難で安穏とした受身の生き方の中には決してないのだと、ぬるい空気の中で寝ぼけ眼をして、自分でも気づかないうちに少しずつ生きる手ごたえを失っていく者たちに、太郎さんはいつも芸術を通して「危ないぞ!」「眠るな!」「戦うんだ!」と銅鑼を鳴らし、全身で、大声で、訴えてくれます。自分自身を、きびしい主体的闘争の場に置きながら−−。

「私は、それまでとうてい想像もしなかった現代日本社会のさまざまの非合理、いやったらしさ、無意味さ、たまらない気分とぶつかるのです。いやだ、とつくづく思いながら、しかし押しすすめてゆかなければならない。負けてしまわないで、現実の不如意をすべて引きうけ、のりこえ、それ以上の問題をつきつけてゆこう。非力であろうがなかろうが、正面からぶつかり、自分が責任を負うのだというのが私の考えです。・・もしすっきりした環境に住み、感じ良く暮らしたいのなら、もちろんパリにいればいいのです。市民的常識で、お互いにうるさい干渉はしないし、人間はなんといってもおうようだし、しかも外国人であってみれば、一だんと私は自由です。だが、あえてこの日本で、戦いつづけたいのです」(第五章)

 この文章に、自分の母国である日本に対する太郎さんの並々ならない愛憎と決定した覚悟を感じて、改めて太郎さんという芸術家、そして太郎さんという人間に打たれました。

 ぜひご一読ください。
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27 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 伝統を徹底的に見返す―。それがこの著書「日本の伝統」の目的であると岡本太郎は言う。

 

 古いものをカサにきて現実を侮辱する事を、岡本太郎は非伝統的であり、人間として卑怯なのだという。

 

 そういう気分に対する憤りが、岡本太郎にはあった。

 

 岡本太郎は、法隆寺の失火による壁画焼失のことについて、「法隆寺は焼けてけっこう」だと言う。そして岡本太郎は、「自分が法隆寺になればよい」と言う。

 

 焼けてしまったのなら嘆いてもしょうがない。それよりも、法隆寺よりもっとすぐれたものを作ろうという気迫が大事である。そしてそれを、現代人が穴埋めすればよいのだ―。

 

 私自身、伝統文化というのは基本的に守っていくべきものだと思っている。だが、こうした岡本太郎の指摘は貴重であり、示唆的なのだと思う。

 

 私なりに解釈してみると、「伝統の存続」は必ずしも、「精神の存続」とはならないというわけだ。本来大事なのは後者であるという事だと思う。

 

 そして岡本太郎自身が「法隆寺はやけてけっこう」の心境に至った理由は、端的に言って、いい気な伝統主義者を嫌った、と察せられる。

“過去は現在が噛み砕き、のりこえて、われわれの現実をさらに緊張させ輝かすための契機であるにすぎません。現在が未来に飛躍するための口実なのです。つまり、かんじんなのはわれわれの側なので、見られる遺物ではない(60頁)”

 

 本書は、私にとって大いに示唆的だった。こうした伝統の見方があるのだと、そう思わせられた。

 

 伝統とは何か。その事に、視点を提供してくれる本なのだと思う。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
「今日の芸術」に続いて読んだが相変わらず魅力的な文章だ。大体にして世間一般の美術解説書はワケガワカラナイものが多い。それらを「そんなものは大したことは書いてない」と言ってバッサリ切ってしまっているのが心地良い。著者の美術解釈は大変分かりやすく魅力的だが「実際に見るとがっかりするかも知れない」と言ってしまっている点も良い。著者の目的は伝統の見方を押し付けることではなく、日本人一人一人に伝統を創造させることにある。まさに「自分が法隆寺になればいい」という訳だ。
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