著者が不動産市場アナリストであり、ポジショントーク的な部分を割り引いて読む必要がある。不動産業界が盛り上がれば仕事が増えるということだ。著者名でWeb検索すれば金融危機前の2008年初頭に国内不動産について強気な予想を立てている記事も見つかる。
一方、不景気、財政危機、デフレ、人口減、高齢化とネガティブな現在主流の経済見通しに対し、データの裏付けをとりながら反論するところは興味深い。
ただ、流用しているデータの使い方や、論理展開に荒い部分がある。たとえば、「日本の不動産を買い漁るアジアの投資家」という箇所で、日本のマンションなどの住宅用不動産売買に占める中国人投資家の購入比率が09年8%から10年10%に増加したことを取り上げながら、5ページ後には原発問題でアジア人投資家が戻ってこなくても負の影響がほとんどないとしている。
総論としては、このようなカーブフィッティング的なところを割り引いても、政策の影響の解説など、勉強になる内容が多い。