本書は上方文庫ポスターコレクションを中心に明治から昭和20年にかけて制作された日本のポスターを文庫サイズに収めたものです。
まえがきに書かれていますが、ポスターは使用された後、普通は用済みとして破棄される運命にあったわけです。掲載されているのはデザイナーの保存用の作品、問屋などで置き忘れられたストック品、収集家の遺品、教育用の教材、新聞社・雑誌社など出版元の宣伝ポスターが原画とともにたまたま倉庫に眠っていたなどの理由で現在見ることが可能になっているものです。
個々のポスターは実に個性的でした。まるで錦絵のようなもの、富国強兵の時代ですから軍人をモデルにしたもの、エドガー・ドガの踊り子を彷彿とする「カスケートビール(和田三造画)」、有名な赤玉ポートワインのポスター、キッチュな絵で覆われている「日本軽業一座」、実にモダンで商業デザインの見本のような「東洋唯一の地下鉄道(杉浦非水画)」、日本情緒が漂う「都ホテル」、時節柄を感じさせる「第二線国防大展覧会 京都丸物」、ヌードをポスターにした「竹久夢二展覧会」、ミュシャそっくりの「神戸湊川貿易製産品共進会(北野恒富画)」、中村大三郎の魅力が感じられる「足利本銘仙」、外国の女優をモデルに起用した「講談倶楽部 映画スター号」、鏑木清方による『潤一郎訳源氏物語』(中央公論社)発売記念ポスター(原画)、などが印象に残りました。
項目を列挙します。和製ポスター、ビラ 煙草ビールとサイダー 日本酒 洋酒、ワイン 食料品 娯楽、観光 旅 展覧会、祭、博覧会 大売り出し 薬 化粧品、歯磨、口腔剤 染、洗剤 国策宣伝 衣服 金融 満鉄 時計 電気、機械、洋品、雑誌、新聞 雑貨 印刷見本 原画、などです。巻末に、本書の著者である三好一氏による「日本のポスター小史」が収められていました。