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日本のソブリンリスク―国債デフォルトリスクと投資戦略
 
 

日本のソブリンリスク―国債デフォルトリスクと投資戦略 [単行本]

土屋 剛俊 , 森田 長太郎
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

国債のリスク顕在化シナリオを大胆予測。
大震災は国債市場をどう変えるのか?
債券運用担当者必携の書。

欧州のソブリン危機や日本財政の悪化に加え、ギリシャ問題や東日本大震災により、
日本のソブリンリスクについて関心が高まっており、さまざまな情報が発信されている。
しかし、中には状況を正しく把握していなかったり、いたずらに危機を煽ったりする
短絡的なものも多い。

本書は、日本のソブリンリスクの本質に迫る実践的な投資運用戦略の書である。
歴史的・理論的に検証した上、今後日本国債に起こりうる将来的なシナリオについて、
各要素に分類した著者独自のモデルを用いてシナリオごとの発生確率を計算している。
また、日本国債の信用力に変化が生じた場合の対処方法についても示している。

内容(「BOOK」データベースより)

日本国債のリスク顕在化シナリオを大胆予測。大震災は国債市場をどう変えるのか?債券運用担当者必携の書。

登録情報

  • 単行本: 230ページ
  • 出版社: 東洋経済新報社 (2011/6/17)
  • ISBN-10: 4492711791
  • ISBN-13: 978-4492711798
  • 発売日: 2011/6/17
  • 商品の寸法: 21.2 x 15.2 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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36 人中、34人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Max-T トップ1000レビュアー
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財政赤字問題に関する従来の議論、すなわち「現在の財政赤字と政府債務の増加は長期にわたって持続不可能であり、このままでは国債暴落、インフレ、資本逃避、金融危機が起こるリスクに直面する」という財政学の主流意見と、そうはならないと考える俗流的な楽観論の狭間で、欠けていた議論をカバーしているのが本書の価値だろう。

具体的には3章で、「長期に持続不可能」といわれながら、既に10余年というかなりの長期にわたって、膨大な赤字国債が発行されながら、低金利が持続してきた原因を実証的に議論している。結論をいうと原因として、日本の過剰貯蓄が経済理論が想定するように短期・中期のタイムスパンでは容易に解消せず、膨張する政府債務のファイナンスが実質金利の上昇をもたらすメカニズムが働かなかったこと、デフレは財政学の教科書では実質債務負担を増加させるわけだが、政府債務のファイナンスの側面においては、デフレで実物資産への投資が委縮する故に逆に政府債務への投資が促進されるという効果が指摘されている。

逆に言うならば、経済がデフレを脱却した場合、過剰貯蓄の趨勢的な縮小が始まる可能性があり、その時にこそ政府債務の長期にわたる安定的な吸収を支えていた条件が消えるわけであり、国債の金利急上昇(価格急落)が現実のものとなるだろうと言っている。全く目新しい議論ではないが、論理的な結論だろう。

また同じく3章では日本政府は、歳出規模、公務員数、公的資本形成のいずれを見ても大きな政府ではなく、全体として見ると小さい政府に部類するが、「受益と負担のバランスが異常化している(低受益、超低負担)結果、財政赤字となっているとデータに基づいて指摘してきしている。その通りだと思う。

さらに4章では日本の財政危機が顕現化する複数のシナリオを樹形分岐方式で検討している。想定されている各事象の発生確率は、あくまでも主観的なものであるが、議論の整理に有益だ。それによると狭義のデフォルト12%、ハイパーインフレ7%、財政状況はさらに悪化するが破綻はない56%、一定の財政収支改善が実現され安定化20%、財政再建完了5%となっている。

著者の立場は日本国債の大暴落や狭義のデフォルトは「そう簡単に発生しない」であるが、財政赤字楽観派を支持しているわけではない。記述の通り、経済が回復して貯蓄超過が解消し、金利上昇が起こり始める時こそ日本国債の重大なリスク局面である。例えるならば、超肥満患者が「立ち上がろうとする(経済が回復する)時に、そのままでは超肥満の身体を筋肉と骨が支えきれなくなって砕けてしまうようなリスクが、政府債務の膨張により増大していると指摘している。すなわち立ち上がる前にやはりダイエット(財政再建)しなくてはならないと言うわけだ。

終章では、問題の解決のためには、高齢化に対応した内需振興、社会保障の持続可能な形への再設計、一定程度の増税しかない。「日銀叩き」「官僚叩き」「公共事業叩き」といった不毛な議論から脱して、日本の進むべきビジョン設計に進んで欲しいと結んでいる。全く同意である。

書店では、国債暴落・政府破綻を扇動するような書籍や、その真逆の日本の財政赤字問題なし論など俗流的評論家の書籍が目立つが、そうしたものに惑わされずに実証的に議論、思考したい読者にとって有益な一冊だと思う。
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Amazonが確認した購入
大量のJGBを保有する金融機関に勤務する者として改めてJGBのリスクを考えるポイントを示してくれた良書であった。主なポイントは既に他のレビューで言い尽くされているので触れないが、第5章で1点非常に気になる記述があった。それは、東日本大震災で東電債のクレジットリスク不安が高まった事実が、日本ソブリンにも重要な警鐘を鳴らしたとする箇所である。これの処方箋は本書の最終部分に、防災投資への取り組みが政府の優先課題となるであろうと触れられているのみであるが、首都圏直下地震⇒財政への致命的インパクト⇒???というパスがありうることも「想定されるシナリオ」に含める必要はないか。「想定外シナリオ」で再び煮え湯(煮え湯くらいでは済まない?)を飲まされないために、財政健全化が何よりも急務であると考えるべきではないか、そんなことも感じた。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
日本の財政状況が悪化し続ける中で買われ続ける日本国債。こうした状況は、潤沢な国内貯蓄が政府部門の赤字をファイナンスして余りあるため、と説明されることが多いが、それ以上に踏み込んだ議論はそれ程多くない。本書は正攻法でこの問題を深く掘り下げ、この問題を考える上で適切な視座を提供する。

本書の結論は極めてシンプルだ。著者は、日本国債を支えているのは、1)企業部門の余剰資金と、2)デフレを背景とした実質金利の高止まりが銀行預金に資金を惹きつけていることであり、これらのサポート要因が剥落すれば、日本国債の金利が上昇し始める可能性が高いと指摘する。上記1)に関しては、1400兆円の個人預金が資金の出所とされることが多いが、日本国債の買い手を考える上ではストックよりもフローに着目すべきであり、ストックの水準は維持されていても、フロー・ベースでは個人預金の増加基調はかなり以前から停滞しており、国債購入の新規資金の出所としての重要性は低下しているとの指摘には説得力があった。また、ソブリン・デフォルトの歴史を総括した箇所も参考になる。

以上の分析を踏まえ、著者は日本の財政と日本国債の先行きに関して、様々なシナリオを提示する。こうしたシナリオをここまで具体的に示した例はあまり無く、関連議論の「叩き台」になれば、との著者の目的は十二分に達せられているように思える。惜しむらくは、1〜4章までと5〜6章の繋がりがやや悪い点か。
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