大正から昭和にかけてのアールデコ様式の作品が収められています。「アールデコ」とは1925年パリの装飾博で脚光をあびたデザイン様式です。
本書には、筆者が収集したコーヒーカップ、ガラスコップ、セルロイド製筆箱、置時計、タペストリー、ホテルのラベル、マッチラベル、化粧瓶、化粧箱、ポスター、着物、小物、シガレットケース、おもちゃ、などが紹介されています。アールデコ様式の建築デザインの代表ともいえる糖業会館の内装にも触れられていました。
本書はアマチュアコレクターであった末續 堯氏が、そのコレクションを元に美術誌「目の眼」に連載したものを1冊にまとめたものです。現代人の感覚からして非常に目新しい意匠デザインのものばかりで、相当な量のカラー写真を眺めているだけでその美しさに惚れぼれしています。また当時の新聞や世相の移り変わりを調べてありますので、社会史、生活史の観点からも高い評価を得られる著作だと思っています。
陶磁器の項目で詳しく述べられていますが、ノリタケや香蘭社のカップのデザインは、基本的に輸出用だったわけです。多くのコレクターが海外にもいるとのことですが、それも当然でしょう。これだけハッとするような洗練されたデザインを見せられたのでは。カップの底にある裏印の変遷もまた日本の輸出事情と大きな関わりがあることを知りました。
インテリアの項で掲載されている応接セットやタイル、ステンドグラス、置時計は、日本における西洋文化の融合の一例でしょう。マッチラベルやポスターなどの商業デザインの分野においてもアールデコ様式は息づいており、それらは時代を超えて今でも魅力を放っています。