まず、コリン・ウィルソンの『アウトサイダー』が本書成立のきっかけとなっています。
しかし、実際のさきがけは、チェスタトンの『正統とは何か』になります。
イギリスを船出したヨットマンが船出して、しばらく航海し、南海の孤島を発見したと思っていたところ、実はイギリスに漂着していた。このことをアウトサイダーがまわりまわってインサイダーを建設した、すなわち古いイギリスを予定調和として知的に再発見した、と著者は言い換えます。
しかし、日本には元々発見すべき古いイギリスはない。したがってアウトサイダーがそのままインサイダーになる。この組み換えが本書のトリックです。
友人である中原中也にはじまり内村鑑三にいたるまで数人を論じますが、要は、著者が彼らはまことにこの悪条件に満ちた日本で、こんなところにまでたどり着いていた、おどろくべきことであると感嘆した事実を記録してあるのです。
しかし、本当にそんな記録であることにとどまるでしょうか。注意深い読者なら、著者の暗示する別の事実に気づくことでしょう。トリックは読み解かれてはじめて充足されるものです。