古くは56年「宇宙人東京に現る」
新しくは97年「陽炎3」や「パラサイト・イヴ」など
日本映画にのみ絞って書かれたエッセイを集めたもの。
(本文中で「評論」じゃない、と言っている…ということはエッセイかなと)
好き放題とはまさにこのこと。
間違いだの語弊だのを気にするなんて気配はこれっぽっちもない。
おぼろな記憶を辿って書かれたと思われるものもある。
(「砂の器」の丹波哲郎はそんなシャウトしてなかった…読んだ後見たけど)
もちろん俳優さんだの各方面への気遣いなども皆無。
データ部分はライターさんがキチンとフォローしてくれてますが。
だけど私は、この本が好きだ。
映画の見方って、本来こんなもんだよな。
…とイチ鑑賞者の立場として共感した。
好きな部分だけ切り取って拡大したり、誇張したり…
(好きでも何でもない映画もあるようですが。どうでもイイ感まるだしで、それも笑える)
そして日本映画がどうしようもなく背負っている気分、みたいなものがリリーフィルターを通して読者に流れ込んで来る。
「赫い髪の女」で石橋蓮司に語りかけるくだりとか…男じゃないのに胸が熱くなった。
それはリリーさんの作った嘘っぱちの幻なのかもしれない。
でも、そんな幻に酔うひととき、私はなんだか幸福な気分に包まれていた。
佐藤嗣麻子監督が「極太系」ではツボを突かれすぎて、一瞬リリー信奉者になった。
「四月物語」「変態家族・兄貴の嫁さん」「どろろ」などは、結構マジなリリーさんのスタンスを語っていてグッとくる。
オス臭を全面に押し出した文章も多いなか、女子的には男のリリシズムの一端をかいま見る思いで読んだ。
10年経った今も、ふとこの本の一節を思い出す時がある。
それがどうもオス的事象に対するマイ物差しとして、無意識に引用しているような気がする。
それにしても添えられたイラストも、どれもこれもヒドすぎる。
ちまたの学生の授業中のノートの落書きくらい、イラストレーターの自負心ゼロ…(「ぴあ」で連載されてたとは…TVブロスかと思った)
そこがまた好きなんだけど。