著者の山本謙治氏はいわゆる食い倒れ系のブログやコラムで人気者だが、あれは氏の余芸であって、世間一般の人に対する硬派な、というか本業に近い視点からの本格的な著書はこれが初出と思う。近年とみに「食」の問題が指摘されているが、山本氏の強みは彼の本業が農作物流コンサルタント、すなわち流通という立ち位置なので、生産者側と販売する側を非常にニュートラルな視点で見ることができるという点につきる。この立ち位置でのこの手の書物は極めて珍しいし、貴重である。氏が一貫して主張するのは「我々消費者こそが勉強して本質的な問題を捉えるべき」ということだ。バブル崩壊後のデフレ経済の中で「安ければ良い」という発想が強くなる一方で外食や偏食してサプリ取りながら健康志向、本物志向みたいな流れもある今の消費者の混沌とした状況に明確な警鐘を鳴らしており、我々消費者が自らの足元を見直すための重要なメッセージが沢山含まれています。食料自給率の低い日本の第一次産業の現実を考えつつ読むべき本でしょう。