本著は2005〜2008年までの月刊誌に掲載された著者の論文をまとめたものである。
前半は、主に日本国内の政局や北朝鮮・中国問題を扱ったものが中心で、個人的に特に目新しくはなかったが、朝日新聞・報道ステーション・NEWS23を観ても何の疑問も感じない人は是非目を通してもらいたい。
圧巻は後半の歴史論である。近代史における個人的興味は既に「共産主義・左翼陣営の暗躍」に絞られているため、著者のように日本であまり話題にならない「ヴェノナ文書」(アメリカ国内のソ連のスパイの動向をまとめたもの)、「ミトローヒン文書」(ソ連のKGB情報局文書課長だったミトローヒン氏の持ち出したKGB公文書を元にしたもの)などを元にした歴史論は非常に参考になる。
「ヴェノナ」からはルーズベルト政権に多くの共産主義者・ソ連のスパイが潜み(ハル・ノートを作ったハリー・ホワイトが有名)、後のマッカーシーの赤狩りが正しかったことがわかる。
「ミトローヒン」からは、やはり、日米安保闘争には日本国内のソ連のエージェントの煽動があり、社会党だけでなく、自民党の閣僚にもソ連のエージェントがいたことがわかる。
あと、数十年もすれば、明らかに言動が怪しいあの政治家、キャスター、ジャーナリスト、学者らが中国や北朝鮮のエージェントだということが白日の下に晒されるであろう。
それにしても、中西氏には、共産主義(コミンテルン)がどのように20世紀を引っ掻き回し、日本を破滅の道へと引きずり込んでいったことに大きく焦点を当てた近代史の決定本を書いてもらいたい。その材料は十分備えていると思われるので、「共産主義の陰謀(仮題)」的な本が話題になり、幅広い層に読まれれば、日本近代史観が一変して自虐史観が吹き飛び、共産主義の残滓が今なお蔓延る左翼陣営を蹴散らすことが出来るだろう。