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著者は、憲法9条と日米安保という矛盾を抱えた(それは日本が大国を諦めたことを意味する)吉田路線がどのようにして生まれ、それから後の政権がどのようにして吉田路線に吸収されていったか(=吉田路線がどれだけ強固だったか)、その中でどう自主性を追求しようとしたかを丹念に記述する。
非常に優れた分析だと思う。著者の言うように、憲法が押し付けられたかどうかということに拘泥するのではなく、正しい現実認識に基づいた未来志向の外交論が活発になることを期待する。
唯一残念なのは、日米安保の交渉で、日本が憲法9条を捨てて再軍備化すべきだというアメリカの圧力に対し、吉田首相が憲法9条を守ろうとしたのはなぜか、書いてないことだ。恐らく日本社会の状況からいって無理だと踏んだのだろうが、アメリカに対する完全な軍事的従属を拒んだため、という解釈も成り立つ。吉田路線を読み解く上で非常に重要なので、画竜点睛を欠く感がする。とはいえ、この本の素晴らしさが大きく損なわれるわけではない。
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