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最も参考になったカスタマーレビュー
32 人中、30人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
必要な軍事力とは何かを考えるための本,
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レビュー対象商品: 日本に足りない軍事力 (青春新書INTELLIGENCE) (新書)
「平和を欲するならば、戦争を理解せよ」は安全保障を学ぶ人間にとって金言だが、それと同様に戦争を知るためには軍事について知らなくてはならない。軍事的常識がなければ、自分達が採りうる手段すら分からないからである。筆者は日本が保持していない最先端の軍事力について考察することで、それを自衛隊が得ることによってどのようなことが可能になるのか、また、今後の日本にとって必要な軍事能力は何なのかを検討する。ここでは弾道・巡航ミサイル防衛、長距離攻撃能力、空対地精密攻撃能力、パワープロジェクション能力、宇宙戦・サイバー戦能力の5つの能力が対象となっている。本書を読んでいると、兵器などの専門用語の多さに圧倒されそうになる。私も安全保障を専攻としているが、文中に出てくる兵器をすべて理解できたわけではない。しかし、筆者が主張することは明快で、正しい軍事知識がなければその是非を論じることはできないという意図を汲み取ることはできた。 具体的な内容に関して言えば、チャフやオトリにも対処できる弾道ミサイル防衛システムの進展や、巡航ミサイルの探知や、空対地精密攻撃能力での可動性の目標物と防護された目標物への対処の困難性など、最新の軍事技術についての動向は興味深い。一つの兵器を購入・製造することで、一つの問題が簡単に解決するわけではないことがよく分かる。また、昨年自衛隊の本来任務に付け加えられた国際平和に資する活動は、十分なパワープロジェクション能力を持たない日本にとって、そもそも積極的に海外に派兵することなどできないという筆者の指摘は、本書の主旨を的確に表している事例だろう。 精神論を一切排した軍事の世界は冷徹なイメージが付随するが、本書で示されたように軍事は可能・不可能で語られるため感情的な攻撃論とは一線を画する。懸念されるのは軍拡の危険性であるが、それは技術的な要請よりも政治的な必要性を重視することで、無用な軍拡を牽制していくことが求められるのだろう。敷居は高く感じられるかもしれないが、専門外の方にこそ読んでいただきたい一冊である。
30 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
江畑謙介氏による密度の高い自衛隊本,
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レビュー対象商品: 日本に足りない軍事力 (青春新書INTELLIGENCE) (新書)
軍事評論家として名高い江畑謙介氏の著書なので即購入。相変わらず記載されている情報量の多さに圧倒される。本書は全部で5部構成(6部構成)となっており、その全てが戦後日本では長い間論じる事すらタブー視されていたものである。(特に長距離攻撃能力保有は) 詳しい内容は購入して読んで頂くとして、気になる点が一つ。本書ではなんとあの江畑氏がイージス無用論を展開していない。これには正直驚いた。方針転換されたんでしょうか。 防衛省改革の一環として政治任用の防衛大臣補佐官制度がスタートするが、江畑氏は政府機関の審議会や懇談会の委員を数多く歴任されているとの事で防衛大臣補佐官に選任される可能性が高い方である。その方がこの時期にこういった本を出版されたのは非常に意義がある事だ。 最後に長距離攻撃能力に関してだが、本書を読んでさらにその必要性を感じた。 一部には今だに「日本が今さら攻撃力を持つというのは馬鹿げた発想だ」「アメリカに任せればいい」と主張している人がいるが、そういう人は日本が長距離攻撃能力を持たない事によって、「抑止力」としての防衛力の要素(効果)を半分欠いている(本著P11参照)事に気づいていないのであろう。 日本の周辺国が総じて軍拡路線を突き進む中、抑止力を利かせる為に今後自衛隊にどんな能力を持たせるかについて、一切のタブーを排して議論すべきだとつくづく思った。
36 人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
自衛隊ができること、出来ないこと。イデオロギーだけに固執して判断しないために,
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レビュー対象商品: 日本に足りない軍事力 (青春新書INTELLIGENCE) (新書)
「予想される脅威に対して対策を講じなかったとしたら、それは政治、防衛担当者の怠慢以外のなにものでもない」。「弾道・巡航ミサイル防衛」「長距離攻撃力」「空対地精密攻撃力」「パワー・プロジェクション能力(部隊の世界各地への展開力)」「宇宙戦・サイバー戦」の5つの視点から、海外主要国の装備を紹介しながら自衛隊の装備を紹介して、その問題点を明らかにしている。 前半は主に、北朝鮮からのミサイルを打ち落とすために必要な防衛力についての考察、さらに相手が撃ってくる前に先制攻撃によってミサイル基地を破壊する可能性についての考察が中心。それが憲法で許されることかどうかはさておいて、これは実は多くの人が一度は想像したことがあることなのではないだろうか。しかし、軍事評論家の視点から検証すると、前者はおろか、後者でさえ、実はかなり難しいことなのだということが本書を読んでよくわかった。 戦車などの陸上装備についての言及は少ないが、空軍力を中心に全体的にハイテク兵器についての記載には詳しいため、最新兵器に関心がある方にとっては面白く読めるところはあるだろう。また、それがいくらするのかというコスト面での情報も良く出てくるので、納税者の視点から見ても少し興味深いものがある。 それにしても、最新兵器は高いねえ。パトリオット・ミサイルは最低2発セットでの発射だが16発で64億円(もちろん、命中しなくても)。さらに戦闘機や艦艇はその比ではない。他国の話だが、2008年に起工予定のアメリカ海軍の最新型空母は1隻で1兆2300億円!もするというのは驚いてしまった。ステルス爆撃機B-2Aも1機で21億ドル以上!というから凄い。 軍事というと最初から毛嫌いして詳しく知ろうともしない日本人が多い。あるいはその反対に声高に他国の脅威と長距離攻撃力の保持を叫ぶ人も一部にいる。しかし、多少の攻撃力でミサイルと核兵器の保有大国である中国とロシアに対する抑止力になるかどうかという基本的な疑問に加え、結局本書でも「北朝鮮の弾道ミサイルを、北朝鮮の国内を攻撃して阻止するという方式は非現実的」「日本が核兵器の保有に動くことは、どのように見ても得策ではない」と明言されており、さらには食料やエネルギーや貿易で外国に頼りきっていることなども含めて考慮すると、イデオロギー以前に、いろいろな正しい情報を調べれば日本が今さら長距離攻撃力を持つというのは馬鹿げた発想だということがわかるし、どう考えてもあまりペイしないように思える。憲法以前の問題といってよい。最低限の抑止力として機能する防衛力を持って、あとはアメリカ頼みというのは意外に賢明な選択なのかもしれない。防衛力について客観的で現実的な視点を持つためにも、イデオロギーだけに固執して物事を判断しないようにするためにも、このような情報に触れることは意味のないことではない。
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