東日本大震災における自衛隊の活動を丹念に綴った、夕刊フジ連載の「誰かのために」をベースにとりまとめた1冊。
珠玉のエピソードの数々が収録された第1部「誰かのために」に感動しつつも、本作の真骨頂は新たに加筆された第2部「災害派遣の舞台裏」です。
自衛隊の在り方を決めるのは政治ですが、その政治に対してもの申せるのは「国民の意識」にほかならない。第2部を読むと、震災対応における自衛隊の活躍が大殊勲である半面、後がないギリギリの状態であったことが切々と綴られています。
予算の制約がある手前、自衛隊だけを特別扱いできないのは解る。その一方で防衛費の拡大が外交力を左右し、そして外交力の優劣が国際経済にも影響力を及ぼす事は決して無関係ではありません。だからこそ、周辺国も軍備拡張をやめようとはしない。
感動の第1部とは対照的に、第2部では間もなく迫りくる危機についての大きな問題提議となっています。
この本が一人でも多くの方の手にとって頂き、わが国の防衛問題を考えるきっかけになってくれることを切に願います。
(レビュアー追記)
去る10月7日に発生したF-15の部品落下事故も、第2章で鳴らされる警鐘とは無関係に思えない。そう考えるのは私だけでしょうか。