フランスとアメリカをモデルに、保守=自由主義、革新=平等主義として日本の状況をバッサリ切っていく著者の言いたいことには同意できる点も多い。 しかし致命的に雑過ぎる。または無知。自由は小さな政府のもと好き勝手やっていくこと。平等はこのような自由を制限して作るもの。自由主義は保守とつながり、平等は革新とつながる。日本のように革新が平和主義を唱え徴兵制反対をいうのはおかしい。保守や自由主義、自由や平等の多義性や議論の蓄積は一切無視して、こうだ!、と位置付け議論を進めていく著者の腕力には心底感心させられた。でも、平等がないと自由もないとか最後の方で書いたりして、著者が自分で複数の意味で言葉を使ってしまっており、しかもそれに気づいていないことは明らかだ。 参考文献をみると、自由主義などに関する専門書はひとつもなく、非常に納得した。もちろん議論を組み立てるにはある程度の単純化は避けられない。しかし言うまでもなくそれはしっかりと勉強したうえでなされなければならないという当然のことがされていないのだ。 最後に、西洋をモデルに日本がおかしいと批判する図式は散々批判されてきたが、その典型のような本だ。 本を書くなら編集者共々もっと勉強してくれ。