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日本という「価値」
 
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日本という「価値」 [単行本]

佐伯 啓思
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

政治の迷走、経済の低迷が続く日本はこのまま衰退するのか。
「戦後」「アメリカニズム」から脱却し自前の思想と基軸を取り戻すために、いま必要な「国家」としての指針を問う。

著者について

1949年生まれ。
京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専攻は社会経済学・経済思想史。
著書に、『隠された思考』(筑摩書房、サントリー学芸賞)、『「アメリカニズム」の終焉』(TBSブリタニカ、東畑記念賞)、『現代日本のリベラリズム』(講談社、読売論壇賞)、『大転換』『日本の愛国心』『学問の力』(いずれもNTT出版)ほか。
2008年、第23回正論大賞受賞。

登録情報

  • 単行本: 311ページ
  • 出版社: エヌティティ出版 (2010/7/29)
  • ISBN-10: 475714248X
  • ISBN-13: 978-4757142480
  • 発売日: 2010/7/29
  • 商品の寸法: 19 x 13.2 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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14 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By どぜう トップ1000レビュアー
形式:単行本
著者が『諸君!』、『表現者』、『中央公論』、『正論』、その他に98年から本年2010年にかけて発表してきた論考を一部修正加筆したうえで三部構成のテーマ別に並べなおして一冊にまとめたもののようですが、序章を含め全15章のうち第10章まではここ数年間に執筆されたものばかりで切り口となっている話題に「鮮度」が感じられます。

第一部は経済のお話〜ケインズ、ポランニー、ベル、・・・・
従来の「産業主導モデル」では経済が立ち行かなくなった米国は80〜90年代に「金融主導モデル」へのパラダイムチェインジを行い、グローバリズムという形で世界経済全体をそこに巻き込んで行った。日本も米国に追随する形で「構造改革」と称してそれへの適応を図ったが、それは従来手をつけてこなかった生産要素(労働、資本、自然資源、人間組織など)をも市場化することによって新たな利潤産出図ろうとするものであるがゆえに、結果として市場経済の土台である「社会」をも破壊してしまっている。われわれの「社会」を今一度立て直すには・・・

第二部は政治のお話〜プラトン、パジョット、・・・
戦後憲法を理想とする「建前」とそれ以前の古くからから継承してきた「本音」をうまく誤魔化しながら使い分けて「戦後日本」は機能してきたのだが、その象徴が自民党であった。一方、理念もなく二大政党制だけを目指して自民党から飛び出し、その「建前」の部分のみを取り出して代弁するだけで政権に着いたのが民主党である。その後の民主党政権の混迷ぶりを待つまでもなく、浅薄な「建前」だけに基づく「国民のための政治」は単なるバラマキの域を出ない。今日の危機的状況の中で日本のとるべき進路をしっかりと見据えるためには戦後日本が自明として来た価値を疑うところからやりなおさねばならないのでは?

第三部は文明・文化の視点から〜ニーチェ、京都学派、竹内好、・・・
100年以上前にすでに囁かれ始めその後西欧社会に徐々に瀰漫していったニヒリズムは、その極限形の産物ととも考えられるナチズムややはり西欧近代主義の一つの極限形たる社会主義〜スターリニズムの出現によってもたらされた第二次世界大戦〜冷戦の間に自由、民主主義、人権などの西欧近代主義の理念が再確認されたこともあって、覆い隠されていたものの、冷戦が終結するに及んで再び顕現化して、われわれ日本人もそれにすっかり飲み込まれてしまっている。まずはそうした現状認識から始めるしかないか。

などと書くと、全体の連関が乏しいような印象を与えてしまうかもしれませんが、実際に読んで頂くと今日の状況の根底にニヒリズムを見据えた保守本流(?)の議論として寧ろよく纏っている気がします。

「価値」というのはそれこそ自明なものではなく作り出してゆくべきものであると考えると、本書のタイトルにはやや不満がありますが、全体として著者の保守の立場からの提言には説得力があると感じられたため、★5つとしました。
このレビューは参考になりましたか?
17 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By YKoon
形式:単行本
90年代から“新自由主義”に対して一貫して懐疑を投げかけてきた著者の最新作です。

佐伯啓思さんの視線は常に文明の盛衰に置かれております。
ですから、<グローバル化=アメリカ化>の状況に対して一貫して疑問を呈してきた彼の言論は常に刺激的でした。

2010年、アメリカの<一極>から中国やインドなどの台頭が始まり、<多極>へと世界の構造が移行が本格化する時代。
彼の筆致はますます鋭く、勢いを増しているように思われます。

本書の形式は時評で、混迷する今日の社会を鋭く描いています。
リーマン後のアメリカ、日本の民主党政権の狂騒、中国の台頭、無責任なマスコミ。
扱うテーマはさまざまです。

しかし、つまらない時評に終わらないのは、彼の歴史に対する教養の確かさのためでしょう。

ギリシアのアテネの時代から民主政が陥ってきた扇動家の横行、衆愚政治。
ダニエル・ベルやドラッカーが鳴らしてきた警鐘。
われわれの<よりどころ>となる価値とは何なのか。
文明に対する彼の鋭い文章からは今日の日本への危機意識がひしひしと伝わってきます。

リーマンショックから2年、日本人の価値観が漂流する今日、「良い本読んだな〜」と感じられる一冊です。

※現在、マイケル・サンデル氏の『これからの「正義」の話をしよう』がヒットしています。
出版社は二匹目のドジョウを狙い、ハーヴァード・ブームはしばらく続くのでしょう。
それはそれで良いことですが、こうした本こそ、本当はブームになるべき本だと感じています。
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9 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By あらフォーティー トップ500レビュアー
形式:単行本
金融危機、グローバル資本主義、日本の民主主義、中国の台頭等々について
内在する矛盾を鋭くえぐり出し、歴史的/思想的背景を解説、今後の方向を示す。
私たちが常識としてきた理解や、正しいと思っていた判断を
大きく揺さぶってくれる。

1ページごとに、「今まで、一体何を考えていたのか?」と愕然とさせられる。

市場経済は、食料や労働、生産手段にまで入り込み、そもそも市場経済が
よって立つ社会を不安定化させているという。今後、いやおうなく、脱競争、脱成長経済
への道を進まざるを得ないともいう。その一方で、日本の2大政党は、方針なき漂流を
続け、そもそも民主主義自体が「無・意味化」してしまっていると分析する。

アメリカ、中国等の「力の対立」の中で、日本国民の「価値観」をつくることが求められている。

政治家や、政治家のスキャンダルばかりを追いかけるマスゴミの関係者に、是非熟読していただきたい。
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