いつか必ずこの時が来ると信じて、待っていた甲斐がありました。
1,500円というお値段に引く方もおられるかと思いますが、内容の充実ぶりが素晴らしいので、躊躇せず購入する事をお勧めします。
何と言っても、カラーの仕上がりが、もう特筆すべき美しさです。山岸先生の描く、あの優美で品格漂う日本画のようなイラストを、
現在の高水準の印刷技術で美しく再現してあるので、これだけでも往年のファンにとっては垂涎ものでしょう。
ページを開くと、当時のオリジナルアルバムのジャケット用に描かれた「龍に乗る王子」のミニポスターが付いてます。
それから、連載ごとにその当時の扉絵をその都度はさんであり、カラーの場合はそれをカラーのままに再現して綴じ込んであります。
巻末には、連載当時の宣伝用の小さなカラーイラストも沢山入っています。
紙の質もよく、しっかりした仕上がりで、永久保存版としてふさわしい出来上がりだと感じています。
まだ一度もこの作品を読まれた事のない方へ…
「日出処の天子」は、飛鳥時代の聖徳太子と、それをとりまく人間たちの物語ですが、
聖徳太子は希代の天才であるだけでなく、超能力者として描かれています。
同性愛の描写があるので、敬遠する方もおられるかとは思いますが、
それは、王子がそうならざるを得なかった要因があったからであって、むしろその要因こそがこの作品の大きなテーマの一つです。
「日出処」は、山岸凉子先生の代表作であると同時に、日本の少女漫画の歴史上においてのおそらく最高傑作だと思います。
また山岸先生は、「花の24年組」と呼ばれる奇跡のような時代の少女漫画家のうちのお一人ですが、
その中でも山岸先生は天才、鬼才という言葉がぴったりあてはまる方です。
80年代の、ご自身で最も脂がのっていたとおっしゃる頃の作品。
この本を、ダヴィンチ編集部の皆さんと先生が、どれだけの気持ち、思いを込めて作り上げたかを思うと、個人的には感慨深い思いで一杯です。