「日本人のスタンダードで考えて『善意の外交』をしようとしても中国には通じません。ますます居丈高になり、自分たちの権益を広げてくる。歴史問題も善意では解決しないのです。それは真実追及の場ではなく、彼らにとってはあくまで権益拡大の手段なのですから」。
田久保忠衛と櫻井よしこによる雑誌向けの対談記事5回分を一冊まとめたもの。うち3回は中国の研究者合計3名相手に行われ、さらに1回は韓国のマスコミ関係者2名との間で実施されている。日本と中国の間、そして日本と韓国との間の問題について、時に激しい議論が展開されている。日中の対談では、靖国問題、尖閣諸島、ガス田、軍拡、チベット、人権。日韓の対談では、竹島問題。
最後の章では、「日韓歴史共同研究」にも携わった古田博司を加え、上記の4回分の対談の総括が行われている。歴史共同研究の場の生々しい様子が述べられているし、歴史を脚色することでこれをカードとして対日外交に利用するという中韓が繰り返し使う手法について多くの日本人が教訓を学んでいないことについての無念さもうかがえる。
個人的には、田久保氏が説明している、中国の「三戦」という外交政策の話も印象的だった。「三戦」というのは以下の組み合わせによる戦略で、実際、最近の東シナ海における事件についても、これに従って眺めればなるほどと理解できるところがある。
・世論戦:ネットも含めた国民感情を誘導する
・心理戦:威圧行為を繰り返すことで相手の出鼻をくじく
・法律戦:自国に有利な法解釈を重ねることで相手を制する
また、戦後の欧米中心の国際政治におけるリベラリズムの理念を「性善説」に基づいて説明し、これを東アジアにも適用できると思った日本の政治家達の判断の甘さが結果的に日本の国益を損なうことにつながっている可能性を指摘しているところも考えさせられた。