中国軍と言えばあまりに弱くて、広い国土を利用して逃げ回ることで戦争を泥沼化させていたという認識しかなかったので、第二次上海事変がこれほど激戦であり、その陰にはドイツの軍事顧問団が深くかかわっていたという事実を知ることが出来ただけで、個人的には、この本には価値がある。
蒋介石が何故、共産党との戦いをやめ、日本と戦うようになったのかは、西安事件により、蒋介石が共産党に協力せざるを得なくなったからと説明されることが多いが、その後も常に共産党と行動を共にしていたわけでもない蒋介石が、自分の信念を曲げて共産党に協力し続けたと考えるのは少々無理があると思うので、常に行動を共にし、信頼もしていたドイツ人からのアドバイスであったという説明の方に説得力を感じる。
ドイツが、日本の同盟国でありながら、そのような背信行為を続けていたことは、やりきれなさを感じるが、欧米人にとって、外交とはそんなものなのだろう。日本が外交で負け続けているのも分かる気がする。
ところで、結局はヒトラーの命により、顧問団は支那から引揚げることになるのだが、そこまで肩入れしていた支那との関係より日本との関係を重視することになった経緯やその根拠に対する分析はあまりなされておらず、また、この本は、第二次上海事変のことは詳しく述べられているが、それ以外の説明は比較的あっさりしており、その辺に物足りなさを感じる。