この本は、三部構成でできている。第一部が、書名の通り「日中関係をダメにした指導者たち」である。田中角栄から始まって、「歴史カード」を中国に与えてしまった中曽根康弘、論評にそもそも値しない宮沢、福田、河野、村山といった政治家たちが辛辣に評価される。小泉純一郎、安倍晋三は、中国に位負けしなかった政治家として評価される。実は、この第一部の内容は「日中関係ウォッチャー」の読者には、既に常識化した話かも知れない。
この本を読む価値は、第二部と、特に「天安門事件」の同志のその後を描いた第三部にある。
第二部は、「『饗宴』後の中国はどこに向かうか」である。その内容は、1989年6月4日の「天安門事件」以後、危機に陥った中国共産党と'ケ小平が行った政策が、どのように汚職と腐敗を合理化して社会主義市場経済の実際を作り上げていったのかという分析である。1991年'ケ小平の「南巡講話」が、正当化し、奨励したものが「官倒」と呼ばれる党と政府、軍の積極的な裏経済活動である。中国の「富裕層」はどのようなプロセスで形成されてきたものなのか。贈収賄と便宜供与はいかに行われるか。彼らは、そもそも観光客であれなんであれ、歓迎できる人々なのか。彼らは何を目的に日本に来るのか。読者は、著者の分析に頷くことだろう。
第三部は、その90年代以降を、「天安門事件」を引きづりながら生き延びた北京大学時代の著者の親友たちのその後である。その具体的な内容は、実際に、この書物に当たって、著者の肉声を聴かれることが一番良いだろう。著者の痛切なうめき声が聞こえてくる。
インフレ政策により経済成長を演出してきた中国のバブルがはじける瞬間が近づいている。そのとき、中国は、国民の不満を転嫁するために「尖閣」に攻め込むか、「台湾」海峡危機を作り出すかしかない。一番、やりやすいところに攻め込むことになるだろう。
地方では、「毛沢東への回帰」を主張して現政権を倒そうという動きもある。自国民を7000万人殺した毛沢東を復活させようというのである。先に日本国籍を取得した著者は、一刻も早く、日本は憲法を改正して普通の国家になるべきであると主張する。
(何度、正確に「とう小平」の「とう」という文字を打っても「'ケ」と出てきます。この文字化けは何故でしょう。)