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16 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
読んでおられなかったら、ぜひ,
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レビュー対象商品: 旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三 (文春文庫) (文庫)
名著といわれていたのは知っていましたが、なぜか読んでいなかった本を、文庫化と同時に読みましたが、いやー、単行本で読んでおけば良かったと思います。もちろん『忘れられた日本人』は読んでいますし、網野善彦さんの本からも、少しは人となりは知っているつもりでしたが、旅から旅への生活を続けた素晴らしく耳の良い人だったらしいという印象だけというか、なんか得体の知れない人物だな…とは思ってたんです。ところが全然違う。安岡正篤さんの評が一番、的確だと思ったですが、宮本さんを仁者だと言っているんですね(p.257)。宮本さんは貧しい農家に生まれ、モールス信号を打つ逓信講習所に入り、そこから師範学校の二部に通い、民俗学の地道な研究といいますか、日本全国を歩き回って聞き取りを行ったんですが、すぐに老人とも打ち解けることができ、何時間でも話を聞いてあげることのできる人だったそうです。 そうしたフィールドワーカーとしての宮本さんを一番買っていたのが渋沢栄一の孫で日銀総裁や大蔵大臣にもなった渋沢敬三。渋沢敬三は私費を投じて自宅に私設研究所をつくり、無職の宮本さんを養い、旅の旅費を用立てたという二人の「巨人」の足跡が重厚に描かれています。
11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
自分を生かし、他の人たちをも生かそうとする生き方,
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レビュー対象商品: 旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三 (文春文庫) (文庫)
信頼できるノンフィクションライターの佐野眞一氏が、宮本常一とその後援者の渋沢敬三の生涯を記すことによって、同時代の歴史や関係した人々のありようをも活写した著作。読み始めると止まらず、あっという間に読み終えてしまった。宮本常一と渋沢敬三、それぞれの祖父の代からさかのぼって始まる記述は、明治期の日本で全く対照的に生きた二つの家庭の歴史と、違った境遇からいずれも旅に心奪われる二人の経歴とその出会いを克明に示してくれる。そうした経緯とお互いの関わり合いは、二つの軸からさまざまな人が現れて関わっていく同時代の群像劇としても機能していて、柳田國男をはじめとして、折口信夫・岡正雄・柳宗悦・赤松啓介・石田英一郎・今西錦司・網野善彦などをはじめ、錚々たる碩学たちのネットワークが二人の周りに形成されていたことが見えてくる。一方で、アカデミズムとは一線を画して地域の人々の声を収集し続ける宮本常一の旅の記録は壮絶に見える反面、人を生かしていく優しさも見えて、司馬遼太郎と共によく語らったという一遍のような仏行にも見えてくる。旅に生き、家庭を顧みては疚しさを感じながら旅を続ける生活、折を見て帰郷したときの子供とのふれあいの段では泣けてくるほどの情感があった。渋沢敬三のほうで見ても、心ならずも銀行家にされ、学者を援助することで自らを慰謝し、結果として日本人文科学の守護者として多大な貢献をなした姿は、今の世に得がたい巨人として浮かび上がってくる。 決して幸せな時代の幸せな生き方ではなかったはずなのに、全篇で読み取れたのは二人と彼らを支えていた人々の希望のまばゆさだった。あとがきで著者が言っているような閉塞感の下では、とても希少で美しい生き様だ。自分を生かし、他の人々をも生かそうという意気の美しさが、すばらしい。そんな風に生きてみたい、と思う。 少し元気になれる一冊。
10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
旅する人たちの記録,
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レビュー対象商品: 旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三 (文春文庫) (文庫)
以前宮本常一さんの「忘れられた日本人」で衝撃を受けたので、宮本さんの足跡を第三者的に追った物を読みたい、そう思って本書を手に取りました。はじめ一次資料である宮本氏自身の手によって残されたものには及ばないだろうなあと思っていたのですが、本書は宮本氏のことを直接知る人物を探し当てて丹念に取材を続けて、宮本常一という人物を奥行きを持って描き出すことに成功していて驚かされました。 更には宮本氏を語る上で避けて通るべきではないという判断から生涯パトロンであり続けた渋沢敬三氏を加え、この二人を軸にしながらの戦前戦後を描いています。 著者はノンフィクション作家として日の当たらない事件を世に出してきたためか、全体的に反権力・無頼の者に共感を持っているように感じました。 戦中という怒涛の時代の中でも己を曲げず淡々と生き抜いた宮本氏、中枢に身を置きながらも地位や名誉に執着することのなく宮本氏を支援し続けた渋沢氏。 彼らの大所高所には決して立つことなく戦中戦後を生き抜いた姿はとても魅力的でした。 渋沢氏は 「決して主流に立とうとするな。主役になれば却って多くのことを見落とす。その見落とされたものの中に大切なものがあるのだ」 と語り、宮本氏は経済的に不安定な中でもこの言葉を守り、進歩の中で見落とされたものに愛情を注ぎ続けました。 かなりの量ですがとても面白く、読了まであっという間でした。 読み終えて印象的だったのが、著者である佐野氏と宮本氏が重なって見えたことでした。 著者は宮本常一の影を追い続けて日本中を旅し、数多くの関係者と会い、膨大な資料を紐解き、相当な手間と時間と労力をかけて本書をまとめ上げたのでしょう。 巻末のすさまじい量の資料集のリストを見て、そのことが一層痛感させられました。 宮本氏、渋沢氏らの歩いた道を、本書では三人目の旅人、佐野眞一氏と共に追体験できます。 とても読み応えがあり、おススメです。
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