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方舟さくら丸 (新潮文庫)
 
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方舟さくら丸 (新潮文庫) [文庫]

安部 公房
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

地下採石場跡の巨大な洞窟に、核シェルターの設備を造り上げた〈ぼく〉。「生きのびるための切符」を手に入れた三人の男女と〈ぼく〉との奇妙な共同生活が始まった。だが、洞窟に侵入者が現れた時、〈ぼく〉の計画は崩れ始める。その上、便器に片足を吸い込まれ、身動きがとれなくなってしまった〈ぼく〉は―。核時代の方舟に乗ることができる者は、誰と誰なのか?現代文学の金字塔。

登録情報

  • 文庫: 379ページ
  • 出版社: 新潮社 (1990/10)
  • ISBN-10: 4101121222
  • ISBN-13: 978-4101121222
  • 発売日: 1990/10
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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11 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 初期の作品と比べるとアイテム数が断然豊富で日本の経済的繁栄を如実に映していると思いました。

 核戦争を生き延びるための方舟という舞台設定も時代を映しているのですが、船長の切実さは作品全体をおおうところまでいっておらず、どこか子供の遊戯めいた雰囲気の中物語が進行します。

 侵入者のせいで夢、希望、計画がけっきょくはかなく裏切られ頓挫してしまうというのは安部公房のいつものパターン。数々の短編と「飢餓同盟」を連想しました。ただ方舟の目的自体が現実的であると同時に非現実感を伴なうものであるせいか、物語の結末は明確な絶望までには至っていません。希望を裏切る現実そのものが生気を失っていて半透明であるところが安部公房の新境地だった気がします。
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6 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 安部氏の作品の特徴は、超現実的な設定を、あくまで現実的な迫力を持って描ききることにある。そういう意味では、本作品はシュールレアリズム的なツールは他の作品に比べ登場しないのだが、その分逆により我々の世界をより痛烈に描いているといえる。
 本作品の焦点は何といっても、地下の「方舟」とそこに集まる人間同士の関係性にあるのではないだろうか。「方舟」というタイトルは、かの有名な「ノアの方舟」を自然と想起させるが、ノアの乗船者は動物たちなのに対し、安部氏の描く方舟は人間同士が乗り合わせている。人間は集団でなければ生きられないが、集団であるがゆえにその内部の葛藤や混乱は避けられない。そこに人間という動物のアイロニーを感じさせる。
 ところで本書に登場する「ユープケッチャ」という虫は、自分の糞を餌にして生き続ける閉鎖体系の象徴である。人間のむなしさは、この虫のように生きられないことなのかもしれない。
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3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
思わずにやりとしてしまう船の仕掛け。

ユープケッチャの奇妙な新鮮さ。

初めは仲間だと思っていたが雲行きの怪しくなってゆく大男。

さくら男の一見頼りなさそうであるが、生活をともにしていると次第に頼もしくなってゆく過程。

ところがぼくは最後までさくら男の存在が邪魔であるという、読者に与えるもどかしさ。

ぼくは最後までさくら女がほしかった。

しかし結局は離れてゆく。

毎回、安部の作り出す登場人物たちの微妙な間柄が好きだ。
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