著者は、“anything goes(なんでもかまわない)”こそが、進歩を妨げない唯一の原理だと主張する。あらゆる観念・方法が自然を理解するには必要であり、知識の進歩のためには、非科学なものを勝手に区分したり排除することを戒め、逆に一見そう見えるものの積み上げが今日の科学の成立を支えていると言っている(ように読める)。尤もらしい理論も、例外が実は沢山あって、決して完成したものではないのだから、そんなものに立脚したものは、ロクなものではないのだ・・・みたいに聞こえる。
さて、一社会人として本書から何を学びとり、日常生活に生かそうか・・・。前提を疑え;無駄なものは何もない;「進んでいる」「遅れている」の区別は根本的に間違っている等、浮かんではくるものの、これらを言わんがために、学術的に論破しようとすれば(*ラカトシュ「方法の擁護―科学的研究プログラムの方法論」とペア)、こんなにも沢山論述しないといけないものなのか・・・と溜息がでる。
重厚な本書にも面白いところがあるので追記する。目次は普通の題ではなく、「目次めいた内容紹介」と題され、各章のエッセンスをまとめてくれている。こういう目次の付け方も面白いと思った。(ついでに言うと、訳者までもが「解説めいたあとがき」としているところはお茶目)
最後に、少々気になることを一つ。本書にはやたらと傍点が多い。原書の英訳からの翻訳とあるが、原書や英訳にはこんなに傍点が多いのか?目障りと言うのは失礼だが、傍点が余りに多く、日本語ならせいぜい単語レベルに付けるのが普通と思うが、本書では多くが文章に付いている。これは編集段階で傍「線」に変えるか、ゴシックにしてほしかった。