この本は大ベストセラーとなった前著の改定版です。大きなイラストも多いで
すが、漢字が多い本だなあという印象があります。13歳からの思春期の男女を
対象にしたとあり、難しい漢字には今時の本にはめずらしくルビもふってあり、
勉強になるので悪くはないでしょう。
映画のところをみると、監督、制作、助手、俳優、カメラマン、衣装・道具係く
らいの職種はあらかじめ思いつきますが、スタントマンなど予想外なものも少なく
ありません。他の分野も同様で、世の中こんなにいろいろな職種があるんだと、
目からうろこ、大人が読んでもとても参考になります。物書きにとっては意味を
調べるのではなく、アイデアの源泉として辞書、百科事典同様、座右に備えておく
べき本とも言えます。
ですが、職業というものは一部の職種と一部の人を除いて、こういう本を読んで
そのなかから職業を選択するのではなく、実際は人やできごと、この種のハウツー、
百科全書的でない本との出会いのなかで決めるのだと思います。そういう意味では、
ハローワーク的アプローチは少年、少女向きとは言えないかもしれません。また、
得意教科からの紹介は入って行きやすいですが、それにとらわれ過ぎるのはどうか
なと思います。
一方、私の分野である医療関係について言えば、職務や待遇、勤務形態、これまで
の経緯、そしてこれからの展望など、まさにその通りと思わせます。でも、逆に最大
公約数的で、実際には一口に医師と言っても、さまざまな職務、さまざまな考え、
やり方があり、千差万別と言うこともできます。また、これからの日本を背負って
立っていく若い人には、ここに書かれている仕事内容を突き破って行ってほしい、
そうしないと君たちの将来も日本も明るい展望は開けないのではとも思います。散り
ばめられている功成り名遂げた人のエッセイや対談は生き生きとしていて、その弱点
をそれなりに補ってはくれています。
この本が若い人の職業選択に役立つかは定かではないですが、この本を肴にして親
とは滅多に話もしない思春期の子との親子の対話を計るのに役立つかもしれません。
何より読んでとてもおもしろいのは確かです。
医師で作家の左門 新
三つ星レストランには、なぜ女性シェフがいないのか 女はなぜ素肌にセーターを着れるのか