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新釈雨月物語;新釈春雨物語 (ちくま文庫)
 
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新釈雨月物語;新釈春雨物語 (ちくま文庫) [文庫]

石川 淳
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

世にも清潔に、かつ澄みきった怖ろしさ、凄さ!魔道に堕ちた上皇の苦悩をえがく傑作「白峯」、人間の羈絆を脱して鯉に化した僧の眼にうつる絶美の自然をえがく「夢応の鯉魚」…作者上田秋成による透徹した美の追求から創造された彫刻的な文体を、独行好学の作家の創意にみちた現代語訳で贈る。

登録情報

  • 文庫: 242ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (1991/06)
  • ISBN-10: 4480025383
  • ISBN-13: 978-4480025388
  • 発売日: 1991/06
  • 商品の寸法: 14.6 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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最も参考になったカスタマーレビュー
24 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 遠遊
形式:文庫
名訳である。本書が凡百の現代語訳と一線を画するのは、その訳文にちりばめられた夷斎石川淳先生のエッセンスに由来する。先生一流の名文は物語を飲み込み、「現代語訳」であるといった違和を感じさせず、あたかも雨月物語を己の作品としたかのような風情である。

しかし、そうは言っても、かなりアクの強い訳であることは事実であり、先生が不要と感じた表現は一切これを切り捨てて惜しまない。よって、原典の細部まで忠実に訳したものを所望する読者には、本書をお薦めすることは出来ない。

このレビューは参考になりましたか?
19 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
上田秋成の文学として最もよく読まれるのはやはり「雨月物語」でしょう。

これはとにかくすごいです。

まず最初の「白峯」の書き出しに圧倒されます。

読者を一気に物語に引きずり込む運動感のある文体、巧みな文章構成と緻密な言葉の配置、西行と上皇とのテンポの良い掛け合い。

どこにも隙がありません。

その後も、死して霊となってまで再会の約束を果たす男を描いた「菊花の約」や、人間の羈絆を脱して鯉に化した僧の眼にうつる絶美の自然をえがく「夢応の鯉魚」など、有名作品がずらりと並びます。

どれをとっても、完璧なまでの仕上がりで、全く文句の付けようのない奇跡のような短編集です。

江戸時代にあって、前衛的な短編集をこれほど完璧な形で表現し切った上田秋成に対し、私たちは完全に言葉を失います。

ところが、です。

その一方で「春雨物語」に目を転じると、なんとも状況ががらりと一変してしまうのです。

まず「血かたびら」「天津をとめ」と歴史的なエピソードを淡々と書き連ねる短編が並びますが、どちらも浅く軽い。

紀貫之と海賊との歌論の掛け合いを描いた「海賊」も、よくできてはいますが「雨月物語」で見られたような精密な構成美はもはや存在しません。

なぜ上田秋成文学はこれほどまでに変わってしまったのでしょうか。

そのことを理解するためには、上田秋成自身が変化の中に一生を送ったことに目を向けねばなりません。

彼は若い頃は放蕩生活、その後俳諧の世界に入り、商売を家業とした後に医者になり、次第に短編を執筆しつつ、一方で歌も詠み国学も修めた、そんな人なのです。

そして文学作品そのものも、茶の本から戯文、怪異譚に随筆まで、ありとあらゆるジャンルに挑戦しています。

つまり、「春雨物語」における文体や文章構成の大きな変化は、新しい文学(一種の散文ですね)を開拓するための必然的な変化だったということなのでしょう。

本書を通して「雨月物語」「春雨物語」の2編を読むことにより、私たちは上田秋成の底の深さをこそ感じるべきなのかもしれません。

さて、話はそれだけでは終わりません。

実はここからが本題だと言ってもよいでしょう。

「春雨物語」の最後に収録された「樊(上・下)」を読むに至り、読者は確実に再度この上田秋成文学に圧倒されることとなります。

「春雨物語」という散文形式による新しい挑戦が、なんとここで完全に完璧な形で完成されているのです。

つまり、上田秋成が「春雨物語」によって試みた散文形式による小説の終着点が、その最後の作品においてすでにくっきりと示されているわけなのです。

「雨月物語」に対して相対的に存在感の薄かった「春雨物語」が、最後に「樊(上・下)」を配することにより、ぐっとその重みを増す。

二大物語としての両輪がしっかりと地を捉え、文学が美しく立ち上がる瞬間を、ぜひ感じてみてください。
このレビューは参考になりましたか?
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By recluse VINE™ メンバー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
他の方のレヴューが参考になります。私の感想はというと、そこまでの読み込みは無理でした。受け手の美意識と感性の問題でしょう。つまるところもう一度、雨月物語の現代語訳を読んだということにつきます。最後に著者と三島のあとがきが付いていますが、この部分は雨月物語の相当な愛好家向けといっていいでしょう。作品の全体像やディテールに初心者が接近するには、角川のソフィアシリーズの「雨月物語」をおすすめします。
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