この漫画は衝撃的だった。言葉遊びが多く、江戸の黄表紙本を思わせる。そして、その言葉遊びの世界の広がりを絵によって視覚化した黒鉄ヒロシ氏の腕に驚嘆。漫画という表現形態の可能性の広さを思い知らされた。 漫画の中で命を吹き込まれた新選組の面々は、生き生きと躍動し、散っていく。ストーリーは感傷的でありながら、その筆致は決してじめじめとはしておらず、ドライで時には溌剌とさえしている。そのあっけらかんとした明るさはセンチメンタリズムに溺れてしまいそうな読者を救い、爽快な読後感を与えてくれる。侍になりたかった田舎剣士の野望、侍に対する憧れが強いあまり、常に潔くあらんとした男達の不器用な生き様を、滑稽かつ人間くさく描く視点も新鮮。 この作品は徹底した史実の研究のもとに描かれたものであり、小説などで読む新選組とは違った印象を受ける部分もあるが、そこを比較するのがまた楽しくもある。ストーリーの合間に入る「新選組発見傳」という、黒鉄氏が新選組にまつわる文書や写真などの資料を集めていた際のエピソードをまとめたコーナーも新選組ファンには興味深く読めるはず。男気と時代の空気がつまった傑作。