生きては戻れぬ死闘を前にしながら、ひょうひょうと振舞う篠原泰之進。好きな女のために新選組にもぐりこみ、惨殺される深町新作。池田屋事変で一番の活躍をしながらも、その運命にもてあそばれているような寂しさを漂わせる山崎蒸。武芸で身を立てることに戸惑いながらも、敵方にひとりで切り込んでいく長坂小十郎。時代に逆らって生きる個性豊かな隊士たちは、いずれも無骨で、真っ直ぐで、さわやかだ。
なかでも、「沖田総司の恋」「菊一文字」で、沖田への不器用な心配りを見せる近藤勇と土方歳三の姿が印象深い。「総司のことになると目が曇る」近藤と土方の姿を、おかしみさえ滲ませながら人間臭く描くことで、司馬は、激しい風雲に飲み込まれざるをえなかった者たちの悲劇をいっそう際立たせている。新選組という「類のない異様な」集団を多角的な視座を用いてとらえた本書は、1個人の人生から、歴史の壮大なうねりを照らす司馬の持ち味が、いかんなく発揮された傑作である。(中島正敏) --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。
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103 人中、98人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
燃えよ剣を読んだら次はこれ!,
By aiko (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 新選組血風録 (中公文庫) (文庫)
「燃えよ剣」を読んで土方歳三がかっこいいと思ったあなた。しかし新撰組にはもっとたくさんのエピソードがかくされているのです。「燃えよ剣」を読んで沖田総司がかわいいと思ったあなた。こっちにはもっと恐ろしい沖田がいます。 「竜馬がゆく」を愛読しているあなた。この本を読んだらすっかり幕府側の人間です。
23 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
何度も読み返します。,
By 犬川 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 新選組血風録 (角川文庫) (文庫)
私がこの本と出逢ったのは、担任の黒ぶちめがねの先生に貸してもらったのがはじまりです。もともと大河ドラマの影響で新撰組に興味があったのですが、これでもっとすきになりました。試験勉強がつっかえては、机のなかからひっぱりだし、こっそり読みました。短編集なので、何度も読み返せます。私はとくに、「沖田総司の恋」が好きです。総司の気持ちが伝わってきて、ついつい悲しくなってしまいます。その総司に気が付き、近藤さんと土方さんが行動に出るのですが、結局それは墓穴を掘ることになってしまうのが、なんだか切なくなります。あと印象が強いのは、「前髪の惣三郎」ですね。架空の人物の惣三郎が出てくるのですが、面白いっていうか、思わず頭にのこってしまう話です。私は読んでる間、いつのまにか惣三郎が女のように感じていました。 私がもうひとつすきなのは、「三条かわら乱刃」です。私は源さんもすきなので、この話はとても嬉しかったです。国枝大二郎という男と源さんの会話が面白いです。 なので、永久にじぶんの懐に入れておきたかったので、すぐに本屋へ買いにいきました。 もう大満足で、毎日もちあるきました。が。大切にしていたつもりだったのに、雨の日に持ち歩いていたら、傘の水がこの本に染み込んでしまい、すこしパリパリになってしまいました。ショックでしたが、ドライヤーでかわかしました。 それぐらいハマります、この本。新撰組ファンなら買うべし!です。
11 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
渋いエピソード満載の連作短篇集,
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レビュー対象商品: 新選組血風録 (角川文庫) (文庫)
新撰組を長篇小説で描いた場合に、やむなく切り捨てられたかも知れないようなドラマが毎回異なる主人公の短篇で見事復活!みたいな感じ。大河ドラマで新撰組に興味を持った者にとっては、掘り出し物満載の古市場に迷い込んだようでたまらない。輪違屋糸里は浅田次郎が創造した人物だと思っていたら、本書でちらりちらりと出てきて「へえ、そうか」とうれしくなった。マイナーな隊士が新撰組に入隊したことによって翻弄されるドラマも興味深い。いつもの面々を違った視点から捉えることによる新鮮さがある。司馬遼太郎の戦いの場面はシンプルな描写なんだけれど、スピード感があってスリリングなんだよなと思う。15篇収録だけれど、もっと読みたくなる短篇集であった。
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