組織に関する良書を数冊読んだ上でなければ、本書を手にしても血にも肉にもなり得ないであろう。
本書は初心者にとってあまりにも難易度が高いこと疑いない。
更には、一部文章の翻訳の非妥当性、或いは文章としての繋がりの悪さが、読み難さを後押ししている。
従って本著を読むには、こうした訳者の文章を乗り越えて、作者の言わんとする本質を掴む努力が求められる。
かたや、扱う題材や視点については目を見張るものがあり、組織で発生するあらゆる現象について逐一考察が行われている。
他の学問の研究がまだまだ十分ではなかった当時に於いて、組織に対するこの切り口の豊富さは驚嘆に値する。
現在日本に溢れる社長のいずれに対しても、ここまで組織を深くえぐった観察眼や組織観は期待できないと思われる。
如上の理由により、本著は組織を研究する者にとって(あらゆる意味に於いて)必読の書であると確信する。
「石を動かすことが五人の人それぞれにいかなる意味をもつかは問題ではなく、その組織全体にとっての意味を彼がいかに考えるかということこそが問題である」とバーナードは述べている。
このように、個人に偏るでもなく、組織に偏るでもない、組織と個人との関連と効果についての深い分析が、この本にはある。
「人間の特性こそ、この書物の基本的な公準なのである。」として、その点からの様々な考察から語られてゆくのも本書の特色と言えよう。
組織というものを説明するのには諸般の分野への学識は不可欠であるし、関連する諸要素を掘り下げもせずに組織を語ることもできはしない。
こうした視座から既述されている為に読者層を狭めているのもまた確かであるが、組織を深く理解させるにあたってそれらに言及しない本こそが寧ろ不自然であると気付かなくてはならない。