陸奥がその力を存分に発揮し始めるのは、明治政府の永年の懸案であった条約改正の任に当たるようになってからである。そしてその後、下関条約とその後の三国干渉を乗り切るまで、もっともよく陸奥を理解し、その能力を全開にさせたのは伊藤博文だった。その意味で伊藤もまた政治の天才であったことが知れる。彼らによる当時の日本の外交力は世界に冠たるものであり、それが日本を先進国に押し上げたことが、本書からうかがわれる。それはおそらく、日清・日露の両戦争に勝利した以上の役割を果たしたといってもいいのだろう。
陸奥は死の間際に「健康が回復したならば、総理になって、三十年来の抱負を実現する」と語っていたという。おそらく陸奥が健在であればそれは十分可能だったであろうし、もし陸奥が薩長の出身であれば、それはおそらくすでに果たされていたはずである。明治という日本の近代化を実現した時代を、もうひとつの視点から描いた1冊である。(杉本治人) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
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それを、後世の人間だからこそ見える客観情勢の主人として、世界情勢を把握し、高いところからその時々を眺められる場所へ連れていってくれる。
物事を判断するということは、1つの要素が欠けてしまえばその判断は狂う。何かに捕われれば、真直ぐに物事を見る目が失われてしまう。そういった誤差を丁寧に排除し、歴史の姿をとんっと目の前においてくれる。
歴史に切断は無く、絶間無く続く時の中で、陸奥宗光が、伊藤博文が、そして明治の人が作り上げ、今に残してくれたものをここへ描写し、また後世へと繋ぐ1本の襷のような本でありました。
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