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新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)
 
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新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫) [文庫]

中井 英夫
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (13件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

終わることで始まる呪縛は、今も持続している。
京極夏彦

昭和二十九年の洞爺丸沈没事故で両親を失った蒼司(そうじ)・紅司(こうじ)兄弟、従弟の藍司(あいじ)らのいる氷沼(ひぬま)家に、さらなる不幸が襲う。密室状態の風呂場で紅司が死んだのだ。そして叔父の橙二郎(とうじろう)もガスで絶命――殺人、事故?駆け出し歌手・奈々村久生(ななむらひさお)らの推理合戦が始まった。「推理小説史上の大傑作」が大きい活字で読みやすく!!



内容(「BOOK」データベースより)

昭和29年の洞爺丸沈没事故で両親を失った蒼司・紅司兄弟、従弟の藍司らのいる氷沼家に、さらなる不幸が襲う。密室状態の風呂場で紅司が死んだのだ。そして叔父の橙二郎もガスで絶命―殺人、事故?駆け出し歌手・奈々村久生らの推理合戦が始まった。「推理小説史上の大傑作」が大きい活字で読みやすく。

登録情報

  • 文庫: 424ページ
  • 出版社: 講談社; 新装版 (2004/4/15)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 406273995X
  • ISBN-13: 978-4062739955
  • 発売日: 2004/4/15
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (13件のカスタマーレビュー)
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10 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 孤高のアンチミステリ?いや傑作ミステリである, 2011/3/10
レビュー対象商品: 新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫) (文庫)
何度読んだことだろうか。
最初が三一書房版、講談社現代推理小説大系版、講談社文庫版、そして覆刻版を所有している。
講談社文庫版は、あまり繰り返し読んだために、何度か買い換えたものである。
今までのところ、本作を超えるミステリには出会っていない。
多分、これからも出会うことはないだろう。
孤高の傑作である。
 
本新装版は分冊であるが、できれば全一冊の厚さを堪能してほしい。
そして、その官能的なまでの文章に酔ってほしい。
ストーリーに関しては述べない。
氷沼一家をめぐる事件だとだけ言っておこう。
いくらでも語ることはできるが。中井英夫、いや塔晶夫の悪魔的なまでのストーリーテラーぶりを堪能するのには、百万語を費やしても足りないくらいだ。
そして、本作には都市としての東京の存在が大きい。

著者はアンチミステリとして本書を書いたようだし、一般的にもそのように認識されている。
しかし、第一級品の本格ミステリである。
昭和の息吹が、痛いくらいに感じられる。
「三丁目の夕日」なんかめじゃない。
これこそが、昭和を代表する文学である。

はたして、もう一人の昭和を代表する文学者である三島由紀夫の本作に対する評価は、非常に高い。
実は本作は、三島作品と非常に良く似た雰囲気をもっている。
具体的には指摘しないが、同じ空気を感じるのだ。
それは、まさしく虚無感というものかもしれない。
そう、「春の雪」から始まる豊饒の海四部作は、本作と同じにおいがする。

しかし、けっして読みにくいわけではない。
いや、むしろスラスラ読める。
現代の若者たちでも、抵抗なくスピーディーに読めるであろう。
しかし、そのペダントリィをきちんと理解するためには、ある程度以上の教養が必要なのもまた確かなことであり、そういう意味では読む人を選ぶ作品かもしれない。
このペダントリィは小栗のものとは違い、けっして難解ではない。
もし、この作品に狂気乱舞できる若者がいたら、実に嬉しいかぎりである。
君は一生の宝物を手にしたのだ。

さて、この作品は誰に感情移入して読むかで、かなり評価が分かれるであろう。
できれば「彼」に感情移入して、もう一度読み直してほしい。
本作の評価が多分ガラリと変わるのではないかと思う。
そのとき、目眩く中井ワールドの入り口が見え、ドップリと深みにはまるのである。

何度読んでも、いつも新しい発見がある。
本作こそ、無人島に持って行く一冊にふさわしいものである。
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13 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 読者が犯人、の意味がわからない人へ。, 2009/12/11
レビュー対象商品: 新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫) (文庫)
時折とりだして、適当なページからぱらぱらと流し読みを始める。気がつくと没頭していて結局全部読んでしまう。そんなこんなでもう十回は読んだだろうか。

ミステリ作家/評論家の笠井潔が『虚無への供物』を「起こらなかった殺人事件」をメインテーマに解題してみせたことがあったが、それはおおむね正しい。
『函の中の失楽』のミステリ作家竹本健治が、後に自作を「ミステロイド」(ミステリのようななにか)と定義づけて連作をものしたのは、実作者としていっそう正しい(下品だったけどネ)。

はりぼての日常を、無意味な風景を、陳腐な痴情を、極彩色の万華鏡に変える手法がここには描かれている。
読者は、万華鏡の無意味な色彩の乱舞に意味を見出そうとする。
でも、厚化粧の下の素顔は、どこにでもある、一度見ただけでは忘れてしまうようなありふれた顔。
それを「虚無」と呼ぶ。

小栗虫太郎『黒死館殺人事件』も、夢野久作『ドグラ・マグラ』も、そしてこの『虚無への供物』も、描かれているのは「大いなる嘘」だ。ただ、半ば無意識だった前ニ作に対し『虚無』は醒めきった眼で、冷徹に、スタイリッシュに嘘を配置した。『虚無』は読者を誘う。嘘を完璧に構築するための共犯者になれと。

これはミステリじゃない。アンチ・ミステリだって、最初からいってるじゃないか。
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18 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 ミステリの先, 2007/2/12
レビュー対象商品: 新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫) (文庫)
今となっては「アンチミステリ」ということを知りつつ、この本を読む人が大概だろう。なので、裏切られたという感想を持つことは難しいのかも知れない。

私も例にもれず、「どこがアンチなんだろう?」という読み方を最初からしていたので、読後には「裏切られた」という風ではなく、「あーなるほど」と思った。

しかし、ミステリ殺しの構造がバレていても、生きることの虚しさ、ミステリとは何か、など色々な議題を振ってくれる貴重な本に変わりはないように思える。

この本に、純文学的(文体ではない)なストイックさを感じるのは私だけだろうか。

読み手を裏切ることの先を目指した作品のような気がする。
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