正直、最初読んだときはハズレかと思ったよ。
素人探偵がほっとけばよいのに事件に首をつっこむし、最初から最後まで登場人物の言ってることが突飛だし、久生や藤木田老のキャラが気に入らないし、アリョーシャが主人公のくせに影が薄いし(テレビドラマでは完全に消されたらしい)、
紅司、蒼司、藍司、とテキトーにつけちゃったんだろうなーと思われる名前の人物が出てきて時々ゴッチャになるし、(殺し方、殺され方が)あまりグロくないし、
黒死館と同じくペダントリーではあるけれども、黒死館はある程度纏まったペダントリーであるのに対し、虚無への供物はあちこち飛んでしまうペダントリーで、
最初の 1.サロメの夜 から 終章の 59.壁画の前で まで嫌いなタイプのミステリー(?)だった。
犯人が出てきても、途中から犯人なんかどーでもよくなっていたから、へぇ、そうなの といった感じだった。
しかし……最後の 60.翔び立つ凶鳥 で私は心を奪われた。「虚無への供物」に憑り憑かれてしまった。
「虚無への供物」が日本三大奇書では最後の作品であるからか、他の2作品のネタが入っちゃってます。でも……
「ドグラ・マグラ」では作者(夢野久作)の力不足で結局表現できなかった、ストーリー自体のグロさ
「黒死館殺人事件」には無かった、文章、登場人物の人間らしさ(それも「黒死館殺人事件」を構成する一つの要素と思っていますが)
他の2作品に欠けてた表現が、「虚無への供物」では見事に表現されている!(かなり上から目線になってしまいましたw)
兎に角、途中で詰まらないと思っても我慢して、何度も読むべきです!!
「ドグラ・マグラ」とは違って、「虚無への供物」は2度、3度……と読む度に面白くなる。