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新装版 苦海浄土 (講談社文庫)
 
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新装版 苦海浄土 (講談社文庫) [文庫]

石牟礼 道子 , 原田 正純
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

人の尊厳とは何か いまこそ心打つ<声>を聞いてください
文字が大きく読みやすくなった新装版
工場廃水の水銀が引き起こした文明の病・水俣病。この地に育った著者は、患者とその家族の苦しみを自らのものとして、壮絶かつ清冽(せいれつ)な記録を綴った。本作は、世に出て30数年を経たいまなお、極限状況にあっても輝きを失わない人間の尊厳を訴えてやまない。末永く読み継がれるべき<いのちの文学>の新装版。


内容(「BOOK」データベースより)

工場廃水の水銀が引き起こした文明の病・水俣病。この地に育った著者は、患者とその家族の苦しみを自らのものとして、壮絶かつ清冽な記録を綴った。本作は、世に出て三十数年を経たいまなお、極限状況にあっても輝きを失わない人間の尊厳を訴えてやまない。末永く読み継がれるべき“いのちの文学”の新装版。

登録情報

  • 文庫: 416ページ
  • 出版社: 講談社; 新装版 (2004/7/15)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062748150
  • ISBN-13: 978-4062748155
  • 発売日: 2004/7/15
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)
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21 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By mozartfan トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
『苦海浄土』を読んだのは,第1回大宅壮一ノンフィクション受賞作品として「文藝春秋」に一部が載ったときでした。1970年ですからもう40年近くも前のことです。石牟礼さんは受賞を辞退していましたが,雑誌に一部が紹介されたのでした。私は大学に入学したばかりでした。第3章「ゆき女きき書」は,かなりの部分が坂上ゆきの水俣弁で書かれた章ですが,石牟礼さんが聞き取った言葉の迫力は尋常ではありませんでした。私はさっそく本を買い,読みました。庶民の暮らしが,その日々の営みがどれほど貴重なものであるかを、感じました。首相だの大統領だのといった人々とは別に,偉い人々がちゃんと巷にいることに感動しました。悲惨な水俣病を描いてはいますが,美しく幻想的な傑作です。それ以後ずっと,この本は私にとってもっとも大切な本のひとつです。高校生くらいの若い人にぜひ読んで欲しい本です。
このレビューは参考になりましたか?
25 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 左党犬 トップ500レビュアー
形式:文庫
 福島第一の「原発事故」の処理に際して、放射能汚染水を地域住民にも国際社会にもいっさい説明することもなく、垂れ流しの決定を行った日本政府。このことを知ってただちに思い出したのは「水俣病」のことであり、『苦海浄土』のことである。

 今回の「人災」を機会に、ずいぶん前に買って本棚に入れておきながら、背表紙を眺めるだけで、読まないままになっていた文庫本を読み始めた。

 水俣病とは、チッソが海に流した廃液にふくまれたメチル水銀が食物連鎖のなかで魚介類に蓄積し、それを日常的に食べていた漁民を中心に引き起こされた公害病のことである。1956年に公式に確認された水俣の悲劇は世界中に知れ渡り、水俣はミナマタとなった。ネコが踊り狂うモノクロの映像は目に焼き付いている。

 この本は、「公害事件」を目の当たりにした、その土地に生まれ育って生きてきた一人の女性で、主婦で、詩人の手になる作品である。「公害」発生前の美しい海と、「公害」発生後の汚れた海から目をそらすことなく、被害にあった漁民たちにきわめて近いところで寄り添い、声になった怒り、声にならぬ魂の叫びを、著者の肉体と精神というフィルターをとおして文字にした文章を集めて一書にしたものだ。

 あくまでも私小説なのであり、土地の方言を生かした語り口は、必ずしも読みやすいものではない。『苦海浄土』の「苦海」(くかい)とは、生き地獄を意味する「苦界」(くがい)に掛けたものだろう。だが、その「苦海」と「浄土」が結びつくとき、いったい何を意味しているのか?
 
 福島に第一原発と第二原発をもつ東京電力と周辺住民の関係は、熊本県水俣に肥料工場を建設したチッソ(=新日本窒素肥料株式会社)と周辺住民の関係とよく似ている。メチル水銀のまじった汚染水と放射能をふくむ汚染水という違いはあるが、漁場が汚染されたという事実だけでなく、致命的な事故が発生するまでは東電もチッソも地域にカネを落とし、雇用の一部を作り出した恩恵者であったことが共通しているのだ。環境汚染企業と周辺地域住民との関係は、アンビバレントなものであり、「企業城下町」や「原発城下町」という性格を知ることなしに、汚染水問題を論じることの難しさもまた知ることになる。これは本書を虚心坦懐に読めばわかることだ。

 この国は、近代に入ってから足尾銅山、カネミ油症、イタイイタイ病、森永ヒ素ミルク事件と、枚挙に暇(いとま)のないほど、数々の「公害事件」を引き起こしてきた。いま現在フクシマで起こっているアクチュアルな事件を見つめながら、先行するミナマタを描いた小説を読む。こういう読み方は文学作品の読み方としては邪道かもしれないが、それでもこの『苦海浄土』を読むと、文学のチカラをあらためて感じることもできるのだ。

 科学万能神話に疑問符がつきだしたいまこそ、詩人をはじめとする文学者に期待するものは大きい。今回の大地震、大津波、原発事故、風評被害という四重苦から、どんな文学作品が生まれてくることになるのだろうか?
このレビューは参考になりましたか?
24 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By vio
形式:文庫
多くの人々が水俣病という公害があったことを学校の社会の授業などで勉強し、知識としては知っているでしょう。でも、「水俣病=公害」という理解の仕方がいかに表層的かを本書を読んで痛感するのではないでしょうか。つまり、本書を読めば、水俣病とは、本当はどういった状態であったのかをイメージすることができるようになるのです。水俣病にかかって死んでいく人々の軌跡や、水俣病という恐怖が村を飲み込んでしまう恐怖が書かれています。
著者の石牟礼道子さんは、水俣のすぐ近くに住まれていたようで、実際に水俣に赴き、聞き書きをするのですが、「言葉として聞き取ることができないもの」をも自らの言葉として汲み取り、表現しています。それが単なる創作とはまったく異なる切実さを持って作品を支配しています。
タイトルにも挙げたように若い人こそ読むべきかもしれません。かくいうワタシも80年代生まれで、水俣病のことなぞ何も知っていなかったことを思い知ったのですから。
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投稿日: 2006/1/6 投稿者: トリイミキ
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