なかなか見どころのある本です。
戦後の挿絵界に大きな功績を遺した石原豪人の、まさしくエロスと怪奇の世界がちりばめられています。
巨人・怪獣・キングコング・大タコなどの怪物物から、 幽霊 探偵小説 宇宙人などの空想物
更には天狗、河童、雪女などの妖怪を描いた物まで、一通り氏の描いた大作を見ることが出来ます。
猪木対ブラッシーの絵まであるのには驚きました(笑)
この人の挿絵は、少なくとも現在40代以上の人なら必ずといっていいほど一度は見ている絵で
少年時代にその絵を見ながら、ワクワクあるいはドキドキと胸を躍らせた人も数多いはずです。
挿絵という地味な世界で活躍していたために、イマイチ世間に名を知られてませんが、もっともっと評価をされていい
いや、されなければオカシイ人でしょう。
私はアメリカが生んだイラスト界の巨匠・故フランクフラゼッタが大好きです。
フラゼッタと豪人を比べたらフラゼッタファンから石を投げられるかもしれませんが(笑)、少なくとも日本に限定していえば
イラスト界への貢献度という意味ではフラゼッタと肩を並べてもおかしくないのでは、とさえ思えます。
この人の絵の魅力は何と言っても、日本人離れした、どちらかというとアメリカンコミックに出てきそうな、色気たっぷりの画風にある思います。
彫の深い人物像・出てくる女性は必ずスリムでかつグラマーという、男性にとって理想的な体型(笑)
西洋風の色気ムンムンの女性も上手いし、日本人好みの色白でおしとやかな女性にも何とも言えない色気が漂っている
唯一男性ファンとして残念なのは「林月光」なるペンネームでSM画家として活躍した頃のエロティックな挿絵がほとんど載ってないこと。
(ほんの数点は載ってますが)
この人の画力・画風の魅力であるエロティシズムがある意味一番発揮されているのは、他ならぬ林月光の頃の挿絵だと思うので、
個人的にはその頃の作品をもうちょっと載せて欲しかったです。
数年前に中野のタコシェさんが「月光秘法館」なる画集を出したようですが、それが手に入らない現在
林月光のSMアートの世界を求めている人はたくさんいるはずです。
どこかの出版社が発行してくれないもんでしょうか?
それがもうちょっと充実してるなら文句なく★5なんですが(笑)