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新装版 歳月 (下) (講談社文庫)
 
 

新装版 歳月 (下) (講談社文庫) [文庫]

司馬 遼太郎
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

新装版 司馬遼太郎の名作
明治維新の激動期を司法卿として敏腕をふるいながらも、明治6年、征韓論争で反対派の大久保利通、岩倉具視らと対立。敗れて下野した江藤新平は佐賀の地から、明治中央政府への反乱を企てたが……。34歳から41歳までのわずか7年間に、栄光と転落を味わった「ふしぎ」な生涯を描く傑作歴史長編。

内容(「BOOK」データベースより)

明治維新の激動期を司法卿として敏腕をふるいながらも、明治六年、征韓論争で反対派の大久保利通、岩倉具視らと対立。敗れて下野した江藤新平は佐賀の地から、明治中央政府への反乱を企てたが…。三十四歳から四十一歳までのわずか七年間に、栄光と転落を味わった「ふしぎ」な生涯を描く傑作歴史長編。

登録情報

  • 文庫: 496ページ
  • 出版社: 講談社; 新装版 (2005/2/15)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062749971
  • ISBN-13: 978-4062749978
  • 発売日: 2005/2/15
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.8 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By tom0
形式:文庫
 『歳月』の下巻は、1873年10月14日の征韓論を議する廟議の前後が描かれる”転変”の章から始まる。いかにも司馬遼太郎らしい、その場に居たかのような詳細さで語られ、緊迫感が伝わってくる。

 明治という時代に合わせたかのように世に現れ、江藤新平という異才が必要とされる仕事(=初代司法卿)で基礎を築きつつも、志半ばで最後は非業の死を遂げる。下巻は、その生涯(41歳)の最期の約6ヶ月間を描くことに費やされている。

 最終章で、作者は”江藤にとって意外であったことは…”という言葉を4度重ねつつ、江藤自身の心境に読者をも同調させて行き、最期は本当に呆気無いような終わり方をする。私は続きを欲する余り、『翔ぶが如く』第4巻を求めに走ったのでありました。

(本書を読み終わって思ったのは、日本にとって”法”の精神は輸入品であり、今に至るも変わっていないことに改めて思い至りました。)
このレビューは参考になりましたか?
10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By uchi2007長州ザムライ VINE™ メンバー
形式:文庫
 この「歳月」という本自体は、私の高校時代からあったものですが、当時
は一冊でしかも文字が小さかったので、全二巻に分かれ、文字が大きくなっ
た点は大変ありがたいものです。とても読みやすいです。

 幕末は、わずかな志士活動だけで脱藩の罪となり、長い間、囚われの身と
なり、暗い世界で過す罪人から、明治維新で世の中が一変し、解き放たれ、
明治政府に出仕するや、眩いばかりの明るい世界に出て、今までの失われた
時、「歳月」を取り戻すかのように、昼夜、馬車馬のように働く司法卿・江
藤新平卿。

 佐賀の江藤新平卿。初代司法卿、警察制度の整備、法の整備充実、法の下
の平等を唱え、近代日本の法治国家の建設に尽力のあった人。急進改革派ゆ
えに悲劇的な最後を迎えた人とも言えそうです。人権思想、平等思想に目覚
めた100年早く生まれすぎた天才的な人間は、当時の凡人達には、とうて
い理解されない運命なのです。

 彼の理想とする未来の社会観、国家観が、彼自身の頭の中ではもう既に出
来ってしまっているのです。(政敵・大久保利通さんとは構想が違うのだが
)だけど当時の周りの人には判らない。天才肌ゆえに、周りがバカに見えて
仕方がないですよね。
 もし、現代人がタイムマシンに乗ってこの時代にワープしたら、同じよう
に、この時代の周りの人間がバカに見えてしょうがないでしょう、誰でも。
それと同じです。

 佐賀市に旅行に行ってみました。 勿論、故・「江藤新平」卿に会いにで
す。
彼の事がもっと身近に感じられるようにと。一応、江藤新平卿は、地元では
「佐賀の七賢人」の一人として称えられているようですが、佐賀市には、こ
れほどの大人物なのに、「大隈重信」と違って、資料館がどこにもなく、本
行寺にお墓があり、後は神野公園に銅像が建っているだけでした。資料が、
手がかりが少なすぎます。愕然とすると同時に、とても残念で寂しく思いま
した。

 司馬遼太郎さんの佐賀での取材も、相当大変だったと推察されます。司馬
さんが佐賀の県立図書館の資料館に閉じこもって古文書を読みまくっていた
という話も頷けるというものです。

 それだけに、書き手である司馬さんの取材能力、情報収集能力がモロに出
た作品だと思います。物悲しくも素晴らしい作品です。ぜひ「歳月」(上)
(下)巻とも揃えて読んでみてください。

 
このレビューは参考になりましたか?
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
わずか7年間の栄光と挫折を引き起こしたものは、主として3つに絞られる。
この男のパーソナリティと、生誕地、時勢である。

江藤新平は二重鎖国ともいわれる佐賀藩に生まれた。
この男の持って生まれた反骨精神がここで爆発し、パーソナリティが形成された。

閉鎖的な所では、出た杭は打たれて潰されてしまう。
反骨精神が異常に豊かなものは、潰されそうになってもそこで喰いしばった結果、
突き抜けることが可能となる。
現在でも、伝統を重んじる京都で、
優秀なベンチャー企業が多数輩出されるのには、
こういう背景がある。

抑えられた精神は、高揚し、凝縮されて、この男の思考能力・独創力を著しく高めた。
そして、その思考力・独創力は、表現する場所を探し求める焦りに繋がってゆく。
焦りは、視野を狭くする。古今東西、焦りに駆られて、事を為したケースは皆無である。
そこから悲劇が始まった。

時はまさに幕末。時勢の荒波が、押し寄せている。ここで、江藤新平はこの荒波に乗ることに成功する。
この荒波に乗り、大きく飛躍した。佐賀藩の小役人から、脱藩して「京都見聞」を作成することで、1本の藁を掴んだ。その1本の藁から、藩の外交官の地位を手に入れ、京に登り、明治維新に貢献する。その実績を買われ、藩の家老の首すら自由にできる佐賀藩の改革担当となり、遂に政府の要請により、司法卿にまで上り詰める。

ここで、1つの悲劇がある。
彼は自らの力で、自らの運命を切り開いてきたとの自負があったが、それは違う。
もちろん彼の優れた能力もあったが、この短期間で、彼の運命を左右したのは、時勢である。
時勢がなければ、彼の能力だけでは、政治力・情報力が不足しており、また軽率な発言も手伝って、
ここまで上には行けなかったはずである。
時勢は、彼の能力不足をカバーし、
35歳まで世間を知らなかった男を、人臭い世の中の上層部に押し出してしまった。

ゆえに、彼は、気付かない。
時勢の波がなければ、司法卿の位置に辿り着くまでに、
政治力・情報力・保身力・処世力が身につくのだが、
(むしろその能力がなければ辿り着くこともできない)
彼は、その能力を身につける間も与えられずに、
司法卿という立場で、恐ろしい政治の舞台に躍り出てしまった。
何も持たずに、丸裸で戦場に追いやられたようなものである。

そして、その政治力・情報力・保身力・処世力の欠陥が、彼を破滅へと追いやることとなる。

江藤新平は、悪い男ではない。
むしろ純粋で、情熱を持ち、国家のために私心を犠牲にする素晴らしい男である。
しかし、自らの情熱に偏りすぎたあまりに、驕ってしまった。謙虚さを忘れた。
時勢が、彼にその事を気付かせる機会を与えなかった。
失敗・挫折がなければ、人は気付かない。
時勢は、その必要な失敗と挫折を彼から省略してしまった。
そして、周りが見えなくなってしまった。
自分の位置を正確に把握できなくなってしまった。

物事には、摂理というものがある。
山の頂きに到達するには一歩一歩しっかり踏みしめることが大切であり、
一気に駆け上がってしまっては、高山病になり、体力も低下し、よろけて転落する可能性が高くなる。
急激な上昇は、必ず急激な下降をもたらす。
ダイエットのリバウンド現象も同じ摂理である。
世の中は不思議なほどバランスしている。

この人間を栄光に導いたのも時勢、破滅に導いたのも時勢。
時勢の前には、1人の人間はこうも翻弄されてしまう。

深い物語である。
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