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新装版 歳月(上) (講談社文庫)
 
 

新装版 歳月(上) (講談社文庫) [文庫]

司馬 遼太郎
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

新装版 司馬遼太郎の名作
肥前佐賀藩の小吏の家に生まれた江藤新平。子供の頃から一種の狂気を持った人物だった。慶応3年、大政奉還を知るや「乱世こそ自分の待ちのぞんでいたときである」と、藩の国政への参画と自分の栄達をかけて、藩の外交を担い、京へのぼった。そして、卓抜な論理と事務能力で頭角を現していった。が……。

内容(「BOOK」データベースより)

肥前佐賀藩の小吏の家に生まれた江藤新平。子供の頃から一種の狂気を持った人物だった。慶応三年、大政奉還を知るや「乱世こそ自分の待ちのぞんでいたときである」と、藩の国政への参画と自分の栄達をかけて、藩の外交を担い、京へのぼった。そして、卓抜な論理と事務能力で頭角を現していった。が…。

登録情報

  • 文庫: 480ページ
  • 出版社: 講談社; 新装版 (2005/2/15)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062749963
  • ISBN-13: 978-4062749961
  • 発売日: 2005/2/15
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)
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11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
頭が切れ、官僚としての能力は抜群。
高く純粋な理想を持つがゆえに、視野が狭くなりがちで他者との対立も絶えない。
その一方で、変なところでネジが一本抜けていて一種の愛嬌がある。
時代を代表する謀略家に挑み、敗れ、それでも処刑される間際まで死を潔しとはしない。

本作の江藤新平を見ていると、同じ司馬作品である『関ヶ原』の石田三成を思い出す。
時代は違えど共通点が多いこの2人。
「敗者の美学」なんて言葉とは程遠い姿に、それとは違う美学を確かに感じさせてくれるこの2人。
ともに大好きな人物なので(もちろん小説の主人公として)両作品とも強くお薦めしたい。

さらに比較すれば、物語の見せ場がタイトルどおり「関ヶ原」であった『関ヶ原』に対し、『歳月』のそれは征韓論争で大久保・岩倉具視を追い詰める物語の中盤。
もちろん江藤が裁かれるラストも見せ場には違いないのですが、こちらの方が「より」という意味で。
あくまで私観ですが。
その物語の中盤以降、わりと早い段階で江藤の敗色が濃厚になってしまうため、読み進めるのにしんどく感じる人もいるかもしれない、というのがお薦めする上でのちょっとした不安です。

既述したように『関ヶ原』の三成と比べてみても面白いと思いますし、これから同作者の『翔ぶが如く』を読もうと思われてる方は、先にこちらを読んでおくとさらに楽しめるんじゃないでしょうか。
このレビューは参考になりましたか?
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 世に西郷隆盛、大久保利通を評価する声は多く、よほどのことがない限り彼らの名を知らぬ人はあるまい。しかし、彼らとともに明治政府の足がかりを築いた「江藤新平」を評価する声はいかにも弱い。幕末維新史に関心を示す者ならいざ知らず、一般の人間に江藤の名を問うても、存じないか聞いたことがあるという程度の反応。佐賀の乱の首謀者だった人、と言ってもらえれば御の字といったありさまである。
 本書はその「江藤新平」を描いた小説である。
 司法権の独立を言い、人権定立を主張し、日本はよろしく法治国家たるべきであると説く。当時の太政官にこれほどまでにたくましい国家構想を持った政治家はなく、まさに「稀代の」と呼ぶにふさわしい人物であった。
 だが彼はその構想を完成させることなく、政敵大久保利通に破れ、乱に巻き込まれ、そして無惨にも刑死した。司馬氏はこの小説の中で江藤のそういう惨めな死を深く考察し、観察し、透明な視点で彼を描き上げている。「江藤新平」の人となりがありありと伝わって来、もちろん物語としても面白いが、歴史に興味を持って考えるきっかけにも充分なりうる名著である。
 非業の死を遂げた歴史上の人物は数あれど、どんなにか「あそこで死んでいなければ…」「あとこの点が彼に備わっていれば…」と強く思わせる人物は多くはない。読了後の感想は人それぞれと思うが、おそらくはそうした期待を込めた、でもかなわぬというやるせない思いを感じさせる人物だと言える。
 江藤を扱った本はいくつかあるが、純粋におすすめできる第一の書はこれ以外にない。司馬氏と明治に関心があるのなら、『翔ぶが如く』の前にこの『歳月』の一読をおすすめする。
このレビューは参考になりましたか?
8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By uchi2007長州ザムライ VINE™ メンバー
形式:文庫
 今年度の夏の甲子園大会、全国高等学校野球選手権大会で見事優勝した「佐
賀県」出身の江藤新平卿の話です。好きだなあ、こういう不器用な人。

 幕末は、わずかな志士活動だけで脱藩の罪となり、長い間、囚われの身とな
り、暗い世界で過す罪人から、明治維新で世の中が一変し、解き放たれ、明治
政府に出仕するや、眩いばかりの明るい世界に出て、今までの失われた時、「
歳月」を取り戻すかのように、昼夜、馬車馬のように働く司法卿・江藤新平卿

 「さ、裁判長! 私は..。」
 人一倍、社会正義に燃え、人権を重んじ、人一倍弁論がたつにもかかわらず
、自分自身の事には一言の弁明も許されずに、佐賀の乱の首謀者として、官史
に強引に処刑台に引っ立てられて行く新平卿。
 自分自身の作った裁判所制度の公正さを信じ、静粛に裁判に望むのだが、
裁判長が政敵・大久保利通に買収されいることも知らず、こういう形で大久保
がねじ曲げた不正な裁判・判決にも従っていかざるを得ない新平卿。そういう
ラストにつながる、うかつさも、新平卿の人間らしい所なのです。人権を重ん
じる憲法が無かった時代のお話です。

 彼は頭が、良すぎるのです。学問の素質があり、明晰な頭脳があるからこそ
、周りがバカに見える。時代を先取りした「人権」を重んじた先進性がある。
「万民平等」の感覚があるからこそ、礼儀作法を身に着ける必要性も感じなか
った。その礼儀知らずさが、周りの感情を悪化させて、敵を作ってしまうので
す。
 純粋で、自己の思想に忠実な人。決して、私利私欲の人ではない。
「万民平等」の思想があるから、薩長の独占政権も許せないし、薩長の汚職事
件も「法の下の平等」の理念のもと、薩長だからという理由で、ねじ曲げて
特別扱いすることはしない。ある意味、職務に忠実な、融通性のない、頑固な人。

 参議の閣議で議論するにしても、思想に忠実なため、相手がどなた様であろう
とも、本人は維新第四等の佐賀勢では強く言える立場ではないが、自分の立場を
顧みず、遠慮無く、理屈で、相手をやりこめようとする。
 そのことがまた、周りの感情を悪化させて、薩長を分断し、内部から破壊す
る反逆者のように思われる、誤解される大もとのもと。
 薩摩だ、長州だという藩閥意識、枠、利害を超えたもっと広い概念の「国民」
全体の福祉を考えた人。

 また、自分自身の弁に自信があるからこそ、彼は自分が正論を吐けば、人を
説得でき、人が動くと思っている。佐賀が暴発しそうだと聞けば、自分の弁で
説得・鎮圧できると彼は思う。そう思って佐賀に向かう。
 結果は大久保の権謀に落ちて、乱の首謀者に祭り上げられてしまう。
 反乱軍が負けそうになると、今度は軍を抜け出して彼は薩摩の西郷に、土佐
の連中に協力を仰ぎに、説得するために会いに行く。そういう、うかつさも、
これまた、新平卿の人間らしい所なのです。
 そういう人間らしさを司馬さんは、愛するまなざしで見つめているのです。
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