初出は1975-76年の『週間朝日』。
8巻に収められているのは「熊野・古座街道」、「豊後・日田街道」、「大和丹生川(西吉野)街道」、「種子島みち」の4篇。
紀州南部は敬語の発達しなかった土地として知られている。いまでもそうだ。私の知人でも、大学生になって初めて都会に出てきて、先生に敬語を使わないというので怒られた和歌山人がいた。そのとき、故郷には敬語がないと聞いて驚いたが、本書を読んで謎が解けた。若衆組と呼ばれる未婚青年組織の持った力、武家社会からの縁遠さ、独特の風土。しかし、考えてみれば、英語などアーリア系の言葉にも敬語はない。丁寧な表現というのがあるだけである。日本の敬語というのがどこから来たのか、いつから存在するのか、ちょっと知りたくなった。