【要約】新薬の研究から開発までの流れを、(良くも悪くも)プロジェクトX風に書き上げた本。
【読みどころ】世界の名だたるブロックバスターの研究・開発の経緯を浅く知ることが出来る。特に、プロジェクトの困難(毒性・物性・予算・経営陣との交渉)を、苦労しつつも1つずつ乗り越えていく様は非常に痛快である。私は企業の研究者だが、この本からブロックバスターのぶつかった障壁を知り、どんな薬にも障害はつきものであることに勇気づけられた。そして、研究者の熱い思いや研究に対する自信が重要であることを再認識できた。
【問題点】しかしながら、私が星5つをつけなかったのは、この本の難解さが理由である。内容は平易なのだが、製薬業界特有の言葉がちらほら見られるため、高校生などには不向きである(例えば、薬の『研究』と『開発』の違いが分からない人には不向き)。一応用語には説明があるが、2度目以降はほとんど断りがない。またプロジェクトがぶつかった問題について、どういう問題なのか、なぜ問題なのかが理解できないと、この本の面白みが半減してしまう点も残念である。
【その他】
・対象は、製薬企業研究者、国立の薬学部生、製薬企業に勤めたいと思う人などが最適であろう。最も適しているのはおそらく製薬企業研究者。
・日本語訳は良い。原著に忠実でありつつも日本語として読めるレベルであろう。
・日本人はほとんど出てこない(2〜3人に対し、わずかな記述がある程度)。