NHKで報道に携わった経歴があり、現在は大学教授である著者が「新聞・テレビは信頼を取り戻せるか」という問題提起型のタイトルの本を書いているので、私は「どんな今日的な問題点が書かれ、どんな解決の方向性が示されるのだろう」と期待して本書を手にとりました。
読んでみると、「はじめに」や「第1章 調査報道とウイキリークス」や「第2章 発表報道、記者クラブは諸悪の根源か」あたりまではそれなりに今日的なテーマが出てくるのですが、どうも平板でややつっこみが浅く、「この人は何を主張したいのだろう?」という感じです。
そして、第3章〜第6章は「調査報道」についての記述なのですが、「何か、大学生が書いたレポートみたいな本」と思いながら読みました。他の本からの引用ばかりで、「著者自らのナマナマしい体験談」や「思い入れ」のようなものがほとんど書かれておらず、多数取り上げられている報道事例も数も相当昔のものが多いのです。
「あとがき」には、「大学院博士課程の論文に行き詰っている時期に、『NHK記者・カメラマンに対するアンケート調査』をみたことで、論文テーマを『調査報道』に切り替えて完成させた」、「『その博士論文から専門的な引用などは削除して一般に読みやすいように書き直してほしい』と編集部から要望があり、本書ができた」ということが書かれています。
私は、このときになって「ああ、それでこんなに平板な記述で、学生のレポートのような本だったのですね」と深く納得しました。
なので、調査報道について「歴史を含めて、広く浅く記述した本を読みたい」という読者であればいいのですが、「現場の生々しい話や報道機関の置かれた厳しい現状について知りたい」という人にとっては期待外れの本だと思います。
特段欠点のある本ではないので☆4つにしますが、読者によってはもっと辛口の評価があり得るかもしれません。